世界を微調整する

会社員であろうと、経営者であろうと、
フリーランスであろうと。
快適に仕事がしたいのならば、やるべき事は同じである。
それは、仕事に自分を合わせないこと。
仕事に自分を合わせるのではなく、
自分に仕事を合わせることが、何よりも重要なのである。

勘違いしている人がとても多いのだが、
会社員にも仕事内容を変える自由はある。
経営者やフリーランスであれば、尚更である。
だが残念なことに、それが出来ている人は、非常に少ない。
ほとんどの人たちは、快適とは言えない環境で、
活躍すること自体が困難な状況で、仕事をやり続けている。

それは、「与えられた環境で努力する」という習慣を、
刷り込まれてしまっているから。
「環境のせいにしてはいけない」という意識を、
植え付けられてしまっているから。
だがそれは大きな間違いである。
環境のせいにし、環境を作り替えてしまうことこそ、
成功の原点なのである。

与えられた環境で努力をする。
なぜこのような不合理なことが、
日本社会では美談になってしまうのだろうか。
それは、体に合わないサイズの服を、
無理矢理着ているようなものである。
小さ過ぎるシャツや、大きすぎるズボン。
そんなものを着ていたら、不快なだけでなく、
動きも制限されてしまう。

仕事もこれと全く同じである。
自分に合わない仕事では、楽しく働けないし、成果も出せない。
だったら自分に合うように、調整すればいいのである。
実際、飛び抜けて仕事が出来る人たちは、
自分勝手に商品や売り方を作り替えている。
売るべき商品を決められている会社員でも、それは同じだ。

彼らは商品の見せ方、商品の使い方、商品の解釈を変え、
自分が最も売りやすい商品に微調整している。
会社員でも可能なのに、もっと自由なはずの
経営者やフリーランスが、これをやらないから不思議だ。
顧客に言われた商品を作り、顧客が望む仕事のやり方をする。
それでは、上司の指示どおりに仕事をする会社員と、
同じである。

勘違いしないで欲しいのだが、
私は「業界に見切りを付けろ」とか、
「今すぐ転職しろ」とか言っているのではない。
仕事には、その人に合わせた「微調整」が必要だと、
言っているのである。

同じ会社の、同じ部署の人間でも、
人によって得意な売り方は違う。
相性の良い顧客層も違うし、商品の捉え方も違う。
だったら自分に合うように、
それらをアレンジすればいいのである。
いかに楽をして、いかに短い時間で、
最良の顧客と繋がり、最高の業績を上げるのか。
それを考え、仕事のやり方を変えていく。
それこそが、正しい努力というものである。

ほんの少し売り方を変え、ほんの少し商品を改良し、
ほんの少し顧客層をズラす。
その微調整を繰り返すことによって、
ピタリと自分に合うチャンネルを見つけ出すのだ。
もちろん、世の中は変化するし、自分自身も変化する。
だから常に微調整を繰り返し、
最も快適なチャンネルに合わせ続けなくてはならない。
だが調整するべきは自分ではない。
調整すべきは今いる世界なのだ。


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