稼げない社長

社員100人の会社が
1億円の利益を出していれば、
かなりの優良企業と言えるのではないか。
昨今では2000~3000万円も
利益が出ていれば御の字である。

よくてトントン、下手をすれば赤字
という会社がほとんどだからだ。
普通の中小企業が利益を
上げ続けること自体が難しい時代。
そこで一番大変な思いをしているのは社長である。

1億も利益が出ていれば
4000~5000万の役員報酬を取っても
誰も文句は言わない。
これぞ社長の醍醐味というものだ。
だが利益が2000〜3000万となると
役員報酬を取ることにも気が引ける。

この状態を言い換えるなら、
社長が報酬を我慢した分だけ
会社に利益が残る状態だからである。
ではトントンの会社はどうか。
当然のことながら社長の報酬はゼロである。

100人の社員に滞りなく給料を支払う。
それだけでも立派なものだ。
だが社員からは喜ばれるどころか不満の言葉が出る。
もっと休みたい。もっと給料が欲しい。

仕事ができる社員はもっと稼げる会社に転職していく。
残るのは給料分稼げるかどうかという社員ばかり。
それでも給料は払い続けなくてはならない。
社長は自分の報酬もままならない状態で、
取りたくない仕事でも取り、
やりたくない仕事もこなさなくてはならない。

それもこれも社員に給料を払い続けるため。
だが社員には感謝されるどころか文句を言われる。
一体何の為にこんな仕事をしているのか。
赤字なら廃業も考えるが、
黒字だとやめるわけにもいかない。
これが多くの中小企業経営者の現状なのである。

仕方なく他の仕事をやって、自分の生活費を稼ぐ。
冗談のようだがこういう社長は現に増えているのである。
別の仕事で生活費を稼ぎ、
会社の利益は全部社員の給料に回す。
だが稼げる社長はまだマシな方なのだ。

多くの経営者は足りない資金を借入で回すしかない。
つまりは自分の報酬を借金で賄っているのである。
社員100人が50万円ずつ利益をあげてくれれば、
会社には5000万円の利益が残る。
1年間でたった50万円。
だがこれがとてつもなく高いハードルなのである。

100人の社員を雇い、育て、
なだめすかしながら50万円の利益を稼いでもらう。
それで社長が取れる報酬は
せいぜい2000~3000万円である。
ひとりでやった方がはるかに効率はいい。
人を抱えるストレスもなく、好きな仕事だけできる。
そう考える社長が増えるのは当然の帰結なのである。

 


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