おかしな時代の終焉

与えられた仕事をこなしているだけで
給料が増えるはずがない。
それどころか同じことを続けていたら
収入は減っていく。
下手をしたら仕事そのものがなくなるかもしれない。

安定した人生を手に入れたいのなら自ら考え、
行動し、スキルアップしていくしかない。
これは経営者から見れば当然の論理である。

指示された通りに動き、
日々同じことを繰り返すだけで、
給料が増えたらおかしいではないか。

だが日本社会では、長らくそのおかしなことが
起こっていたのである。
社員はその常識にすっかり慣れてしまった。

なぜ毎日こんなに頑張っているのに
給料が上がらないのだ。
真面目にやっているのに給料が増えないのは
経営者の責任ではないのか。
彼らは本気でそう考えているのである。

やれやれ困ったものだと経営者は思う。
だが経営者も本質的には同じである。
取引先や既存顧客から依頼された仕事を
こなしているだけ。
それで業績が良くなったらおかしい。

同じことをやっていたら業績は下がって当たり前。
状況は社員とまったく同じなのである。
だが社員が慣れてしまったように、
経営者もこなす仕事にすっかり慣れてしまった。

まじめに仕事をこなしていれば経営は成り立つはずだ。
それで成り立たないのは景気が悪いからだ。
つまり国の政策が悪いのだ。
と、気がつけば社員感覚になっている。

自ら考え、行動を起こし、
新しい商品やサービスを生み出そうとしない。
新しい事業を立ち上げ、
新たな顧客を開拓しようという発想がない。
それが多くの中小企業経営者の姿だ。

何だかんだでやっていけてる。
だからウチは大丈夫だ。
という社員気分の経営者は多い。
だが本当に行き詰まったらもう手遅れなのだ。
まだ大丈夫なうちに準備するしかない。

考えている余裕はない。
今この瞬間に決断するべきである。
新規事業をやろうと。
これまでの事業を一旦リセットする。
もちろん本当に事業を止める必要はない。

リセットすべきは経営者の頭の中だ。
SNSが苦手だとか、zoomは好きじゃないとか、
そんなことを言っている場合ではない。
常識は今この瞬間にも変わり続けているのだ。

人を雇い、給料を払い、ちゃんと管理すれば成り立つ。
それはおかしな時代の経営感覚だ。
利益貢献しない社員に給料が払えないように、
事業を生み出せない経営者に社長は務まらない。
経営者の仕事は事業を生み出し育てること。
おかしな時代は終焉したのである。

 

この著者の他の記事を見る


尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)

 

1件のコメントがあります

  1. おかしな時代が戦後復興という名の高度成長期、いや~、何も考えず成長した時代。だから恋しいのは人間の性、といっても現実が時代錯誤を突きつけたと感じました。いつもはっとするコラム、ありがとうございます。

時合 健生 へ返信する コメントをキャンセル