出口戦略にM&Aを選んじゃいけないケース【読むPodcast | マネトレ119-後半】

親会社から見放された子会社の運命はいかに。
親会社からの借入2億は免除の提案を受けているが、結果、純資産が1億ほどプラスになるため税金がかかってしまい、それもそれで資金繰りが厳しく払えないという質問者さん。M&Aを目指すならどのように処理したらよいでしょうか解散してもいいんじゃない?(前半はこちら)(音声は
こちら
大久保

今回のケースは……債務免除したくないなら債権を買い取るよね。

円道

要はこの社長さん本人が?

大久保

本人というか、もしMAするんであれば買い手が。……株もおそらく1円とか……あ、でも、純資産1億あるのか。ただ、赤字だから負ののれんがね、それこそ数千万か何千万かわかんないけど、3,000万あったら3,000万溶けちゃうわけだから、株価1円として債権も1円で引き取ると、親会社は売却損が出るもんね。

円道

はいはいはいはい。

大久保

そうすると、ほぼ損金取れるから。みたいなやり方で要は債務免除せずに、債務免除益をもたずに、要は実質債務超過じゃないんだけど、表面債務超過にしておくっていうパターン。「2億の負債があるよ」っていうダミーの負債っていうか、本当は自分が株主であり債権者だから、取らなくていい、要は役員貸付金みたいなのが残るっていう。で、利益が出てたら取り崩して債務免除していくとか、まあ、親会社に返済していくでもいいし。

円道

いまの話の主体主語は、この方ですか?

大久保

いや、質問者さんではなく、買い手。売れるとするならばだけど。

円道

売った場合の買い手側の話ですね。

大久保

そうそうそう。社長は株を買い手に売る、元親会社はその債権を買い手に売るってことで、損金にしたり免除益で課税されなかったりっていうことができる。

円道

ああ、なるほど。いま、3者間、頭のなかで動いてるんですね。

大久保

そうそう。

円道

なるほど。

大久保

そういうパターンは結構あるよね。親会社から貸し付けしすぎて、当然返せないんだけど、「どうしたらいい?」みたいな、「残っちゃうと買えないし」みたいなときはそういうやり方をするけど。ただ、これってさ、ちょっとわかんないけど、まず「売れんのか問題」があってさ、ただ、B/S見てないからわかんないけど、これが製造業とか投資がすごい多かったらむずかしいけど、さして設備投資とかしてないんなら、事業をやめればいいんじゃないの?(笑)

円道

あ~、解散?

大久保

うん。純資産が1億あるんでしょ。で、5,000万もあるわけじゃん。


円道

たしかに製造業とかじゃない場合で、いったん仮説でいうと、当然キャッシュ、なにかしらの在庫と……

大久保

まあ、売掛があって。

円道

売掛か。

大久保

たとえば。そういう状態だよね。投資がほとんどないなら、たとえば、えーと……わかんないけど、
現金5,000万、在庫5,000万、売掛5,000万の1億5,000あるとする。
買掛金あるんだろうから、まあ、だから売掛1億とかで資産が2億あって、買掛金5,000万、社長からの借入5,000万で、負債1億で、純資産1億ってことじゃん。

円道

うんうんうん。

大久保

だから、まあ、絶対返せるよね。っていうか、社長も閉じたら、会社清算したり債務免除しなくても事業停止して、ぜんぶ換金して支払うもん払って、社長の5,000万取って。もしできればね。

円道

なるほど。

大久保

そんで休眠したら?免除しないで。親会社が怒るかもしれないけど、親会社が損金にならないかもしれないけど。

円道

あ、その場合、親会社は損金にならないんですか?

大久保

その場合は、社長が親会社からその債権を買ってあげたらいいんじゃない?返せないから。

円道

いまのケースでいうと5,000万で?

大久保

2億の債権を1円で買えば、親会社も第三者に譲渡したと…。

円道

あ、そうか。親会社としては2億の債権になるのか。

大久保

そうそうそうそうそう。いま免除してないから、マイナスで1億なわけでしょ。

円道

うんうんうんうん。

大久保

それを買ってあげることで落とせるかな。まあ、ちゃんとやんないと、金額も金額だからリスクありそうだけど。まあ、ざっというとそんなので処理……もし売れないならね。ただ、結局、毎年赤字だから、これ、長引けば長引くほど、そうならない。これ、結構あるあるだけどさ、いまならやめれんのに突っ込んじゃったが故に……要するに、社長の貸付金とか、どんどん回収できなくなってくるから。

円道

ああ。たしかに、事業がこのまま伸びるのか、衰退していく流れなのかによっても。

大久保

そうだね、うん。

円道

そうですよね。

大久保

でも、見放されてるぐらいだから、2億も突っ込んだ人が見放すんだから、よっぽどよくならないんだろうとは思われるよね。まあ、短期的にコロナの影響ですげー悪いとかだったら、まだ可能性あるかもしれないけど、でも、そしたら持ってるだろうから、おそらくむずかしいんだろうなあとは思うよね。

円道

はあ。

大久保

だから、すごいシナジーがあって、そのなかのなにかだけ持っていけば……ただ、その場合は事業譲渡でいいわけじゃない?事業売っちゃって、それで入ってくるお金が、まあ、入ってくるのか、タダで持ってってもらうのかで、コアなところだけ持ってて、たとえば人材とか、商流とか、仕入先とかわかんないけど、「同業で2・3人入れたらその商売できるよ」みたいな、そんなビジネスが移行でできるんであれば事業譲渡して、こっちの会社はこれで処理しちゃえばいいんじゃないかなと思っちゃうけどね。

円道

なるほどですね。で、この方自体は話しながら、たとえば2年とか、ちょっと役員とかで残ってやりつつとか?

大久保

そうそう。でもいいし、その貸付が回収できれば、食うには困らんだろうから。

円道

なるほど。

大久保

まあ、年齢とか生活によるけどね。

円道

まあ、そうですね、そうですね、はい。そういうことか。

大久保

いまの状態よりはぜんぜんいいよね、うん。

円道

なので、MAをまず考えるというよりも、業種・業態によりますけれども、いまみたいな減価償却ガッツリみたいな状態になってたりしないんであれば、もしかすると、いったんここで清算処理っていう形が……

大久保

これ、あれだよね、それがほんとに正しいかわかんないけど、これってMAの仲介ではやんないだろうね。提案しないと思う。

円道

まあ、そうだよね。MAしないもんね。

大久保

そうそうそう。だから、僕らならできちゃうよねっていうか。

円道

なるほど。いやいや、この話は「再生男・大久保圭太」が出ますね。

大久保

再生男じゃない(笑)

円道

救急外科医みたいなとこありますから。

大久保

外科医(笑)

円道

ちょうどきのう外科医と飲んでたんで、大久保圭太と、ちょっといま被った感じがしました。

大久保

(笑)

円道

まあ、ということでね、非常にいいタイミングで質問いただけたかもしれませんので、また具体的になにかある場合は、ここから先はちょっと、番組厳しそうな気もしますので、問い合わせをしたほうがいいかなと思います。

大久保

はい(笑)

円道

お問い合わせください。ということで、終わりたいと思います。ありがとうございましたー。

大久保

ありがとうございまーす。

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