第99回「凍眠」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第99回  「凍眠」

冷凍パスタを食べて驚きました。冷凍食品の進化がスゴいとは聞いていましたが、想像を大きく上回る美味しさです。食材や製法にもこだわりがあるのでしょうが、うまみを閉じ込める冷却技術にも注目です。


特開2020-012612号(権利者:株式会社テクニカン)
【発明の名称】冷凍装置

商標登録第6229576号(権利者:同上)
【商標】 凍眠
【指定商品/役務】食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物 など


80°のサウナには入れますが、80°の熱湯に触るとヤケドするように、同じ温度であっても、気体か液体かで熱が伝わる力は大きく違います。
この技術を利用したのが、「凍眠」の冷凍装置です。
気体よりも熱伝導率の高い液体(アルコール)を使うことで、一般的な送風冷凍よりも短時間で急速に冷却することが可能です。マイナス30°の液体を使う場合、マイナス100°の窒素ガス凍結の8倍のスピードで急速冷凍ができると言われています。
凍結スピードが早いということは、冷凍時に生じる氷の結晶が膨張する時間を与えないことを意味し、結果として、食品の細胞破壊やクラックを抑制することができます。そうすると、解凍時にドリップが流れ出ず、旨みや栄養素が残った状態を維持できる、つまり、冷凍なのに鮮度が保たれるということです。

未来コンパスが指すミライ

それにしても、「冬眠」をモジった「凍眠」というダジャレっぽい(?)ワードに惹きつけられるのは、私が年を重ねてオヤジ化しからでしょうか笑。 「トウミン」という音は、冬眠する生き物を想起させ、なんとなく「生」「新鮮」という印象をいだかせます。そして、漢字の違和感によって、消費者からすると、つい気になってしまうネーミングです。
凍眠まぐろ(登録第6048620号)、凍眠さば(登録第6048621号)という個別の商品名も登録されているようです。

ゴアテックスという素材が洋服の価値を引き上げるブランドになったように、いずれ「凍眠」という冷凍方法が食品の価値を引き上げるブランドになるのかもしれません。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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