給料以上に働く社員がいないと会社は成り立たない。だが社員は給料以上に働く意味がわからない。今はこういう時代なのである。まず経営者はここを認めなくてはならない。給料の3倍〜5倍働くのが社員の務めである。そうしないと会社は成り立たない。会社が倒れたら君たちの人生も倒れてしまう。という理屈が通用しないのだ。
元々この理屈が通用していたのは日本だけ。中国でこんなことを言ったら「会社が倒れたら俺たちも倒れる?」「そうなったら転職するだけだ」と社員に笑われてしまう。そしてこの反応は正しい。会社が潰れて困るのは経営者であって社員ではない。社員は他の会社に転職すればいいだけ。
とは言え、赤字社員だけで成り立つ会社が存在しないことも事実である。給料以上に働いてほしい会社と給料以上には働きたくない社員。この矛盾を解決できる会社だけがこの先も生き残っていけるのだ。ではそんな魔法のようなことがどうやったらできるのか。そのひとつの答えがビジネスモデルである。
圧倒的なスケール化や独占的なオンリーワンモデル。社員に過度なストレスがなく、会社の指示に従っているだけで、給料以上の利益が自動的に生み出されていく仕組み。これがあれば労使の矛盾は解決できる。逆に言えばこれがない企業は生き残っていけないのである。
社員の頑張りを利益の源泉とする労働集約型ビジネスは、愛社精神や洗脳なくして成り立たない。だが洗脳はビッグモーターのように必ずどこかで破綻する。では愛社精神はどうか。残念ながらこちらもどこかで破綻する。雇用者(会社の所有者)ほどの愛社精神を被雇用者に持たせ続けることは構造的に無理なのである。
ではどうする?じつはビジネスモデル以外にもうひとつ魔法がある。それはマッチングである。人はそれぞれ違う。楽しいことも、辛いことも、得意も、不得意も、バラバラ。ここを利用して、ひとりひとりの個性とひとつひとつの仕事を丁寧に微調整していくのだ。言うなれば仕事と個性とのマッチング。
多くの人を満足させるには優れたビジネスモデルが必要だ。だが個別の満足なら丁寧な微調整で生み出すことができる。この仕事のやり方なら私はまったくストレスがない。とても楽しい。やりがいがある。同地域の同業者であるにも関わらず仕事のやり方も働く人材も絶妙に違う。この違いが働く人にとってのオンリーワン企業を生み出すのである。
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