自分の商品を持とう

税理士、不動産屋、美容室、ウェブサイト構築会社、フリーのカメラマン、コピーライターと、世の中には様々な会社や仕事が存在する。業種業態は違えどもそこにはひとつの共通点がる。自分の商品を持っている会社やフリーランスは儲かるが、持っていない会社やフリーランスは儲からない、という共通点。なぜなら商品を持たない会社や個人には価格決定権がないからである。

私はこれまで数多くの経営者やフリーランスにこの話をしてきた。だが「自分の商品がない」という意味を理解できる人はほとんどいない。商売をしているのだから商品はある。現に売れているものがあるのだからそれが商品だろう。これが多くの人の実感である。何度もお話ししているように、商品とは「自分なりの答えである」と私は考えている。では答えとは何なのだろうか。

答えとは「何らかの課題や悩みに対する自分なりの解決策」である。ここで重要なことは「自分なりの」という部分。「私なら、こういうやり方で解決しますよ」という提案。それが答えである。顧客の側が答えを持っているビジネスは儲からない。答えに合わせた商品を作る会社が無数に存在するからである。

儲けたいなら自分の答えを持つこと。それを商品として具現化すること。ここで重要なのは顧客を選ぶという決断である。通常なら顧客になり得る人たち。その中からターゲットを絞り込む。勇気がいる行為だがこれは戦略上不可欠である。マーケットは小さくなるが優良顧客は増える。利益も増える。

ターゲットを決めたら商品を言語化する。「私はこういう人に、こういう価値を、こういうやり方で提供する」という明文化。これを商品コンセプトという。次にその文章が指し示す商品(サービス)に名前をつける。名前をつけないと商品にはならない。固有名詞を持たないものは存在しないのと同じ。「イリオモテヤマネコ」と「西表島に住んでいる野生猫」では存在レベルが違うのである。

名前が決まったら価格を設定する。いわゆるプライシングという作業である。決して同業他社と比較して価格を決めないこと。ここが重要なポイントだ。私ならその商品にいくら払うのか。自分が顧客なら払うであろう最大の価格を付ける。そして最後に「商品名・商品コンセプト・商品価格」が書かれたページを作成する。商品があるかどうかの境目はこのページの存在なのである。
 

 

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