民主主義の最大の課題は国民の成熟度だと言われている。目先の利益ではなく長期的ビジョンが実行できる政治家を国民は選ぶべきだ。だが残念なことに国民はそこまで成熟していない。今は我慢の時だ。子の代、孫の代が住み良い国になるために、皆さんは耐えてくれ。などと言おうものなら見事に落選する。
国民の大多数が求めているのは短期的な利益である。あなたは今すぐ税金を下げてくれるのか。今すぐ給料を増やしてくれるのか。今すぐ年金問題を解決してくれるのか。と短期的な成果ばかりを求めてくる。結果、耳触りの良い短期成果をチラつかせる候補者が選ばれ、国はどんどん疲弊していくのである。
国に隠し財産でもあるのなら、あるいはとんでもない無駄金でも使っているのなら、短期成果も見込めなくはない。だが起きている問題はもっと根本的なものだ。出生数が増えず、少ない若年労働者が高齢者を支え続けなくてはならない。議員の年収を減らしたところで根本的な問題は解決しないのである。
やるべきことは明白だ。人口が減ることを前提に対策を立てる。根本から教育を見直し価値を創出できる人材を増やしていく。短期的には痛みを伴う改革であっても、長期的視野に立って国民を巻き込んで実行していく。そういうリーダーが必要なのである。だが残念なことに国民は短期的成果しか見ていない。
会社組織では民主主義は機能しない。社員の人気投票で社長が決まるわけではないし、社員の多数決で事業方針が決まるわけでもない。完全なるトップダウンだ。故に会社組織では長期的視野に立った戦略が実行可能なのである。だが残念なことにそのトップ自身が短期視野にはまり込んでしまっている。
上場企業では四半期ごとに成績が発表され利益を上げられない経営者は容赦なく叩かれる。雇われ社長は株主の意見には弱い。結果的に株主の多数決で戦略は決まる。残念ながら大多数の株主は短期での利益や株価アップしか求めていない。長期的視野で応援するために株を買う人などほとんどいないのである。
国も会社も同じである。大きな成果を上げたいのなら短期収益は度外視して長期戦略に舵を切らねばならない。だが現実的に国や大企業にはこれができない。では誰なら実行可能なのか。オーナー社長が実権を握る中小企業しかない。今こそオーナー特権を活かそう。決して短期の利益に流されてはならない。
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