【新連載】泉一也の『日本人の取扱説明書』第1回「日本人って何者よ」

英語の文法だと「私がお茶をいれました」が正解。主語、動詞(他動詞)、目的語。この3つで文章がなりたつ。もしくは主語、動詞(自動詞)。お茶を主語にすると自動詞が動詞にならない。なぜならお茶は意思を持たないモノだからだ。そのモノが主語で自動詞とのセットになる。モノが主体の世界に何か大切なものを感じている。それは何かというと、「私」「あなた」といった「人」の意思が事をなしているのではなく、その場の「空気」、その場が作られてきた「流れ」が主人公なのだ。お茶というモノにその場の意思が入った。なので「お茶が入りました」という表現になる。日本人は空気を読むのが得意であり、逆に空気に飲み込まれもする。『忖度』が良い意味でも悪い意味でも使われるのは、こうした背景があるのだ。

よって、ビジネスでも「人」を主人公にするのではなく「場」を主人公すれば、そこに日本人が好む世界が生まれる。「弊社がこの商品を作りました」ではなく「こうしてこの商品が生まれました」、「私がこの会社をつくりました」ではなく「こうしてこの会社が誕生しました」という表現。“こうして”のところにある『流れ』にお客様や協力パートナーが気持ちよく感じるストーリーがあるか。そこが大事なのである。

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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