株式会社を疑う経営

私たちは資本主義社会を生きている。
そのルールの根幹となるのが株式会社である。
資本家がお金を出し、会社を作り、人を雇い、
収益を上げて、リターンを得る。
それが株式会社の仕組み。

日本には420万の会社があると言われているが、
その99.7%は中小企業である。
つまり、418万人の中小企業経営者が
存在するということ。
彼らは資本家であり、
人を雇って指示を出す経営者であり、
利益が還元されていくオーナーでもある。

資本主義という社会制度の中で、
株式会社という仕組みを上手く使い、
収益を生み出して生活している人たち。
それが中小企業経営者。
当たり前の話であるが、
資本主義や株式会社を否定する経営者はいない。
それは自分自身の否定でもあるからだ。

だがここに来て、その常識は変わりつつある。
資本主義という制度、株式会社という仕組み自体を、
経営者自身が疑わねばならない。
そういう時代になりつつあるのだ。
なぜなら、それを支えて来た二つの柱が
揺らぎ始めているから。
その柱とは、お金と雇用である。

まず、お金の地位は確実に下がりつつある。
資本家が力を持っていたのは、
お金によって課題の多くが解決できたからである。
まず、金を出せば人が集まる。
そして、金を使えば儲かる仕組みが手に入る。
という状況が変化した。

給料を払う側ではなく、
給料を受け取る側が相手を選ぶ時代。
工場を建て、商品を作り続けても、利益が出ない時代。
そういう時代に突入した。
更には株式会社を支えて来た、
雇用というものの価値が一変した。

人を採用するためには、
給料以外に莫大な採用経費がかかる。
にも関わらず、雇った人材は昔ほど利益をもたらさない。
それでも解雇することは出来ないし、
社会保険には加入しなくてはならないし、
転勤や転属を命ずることにすら気を使う。
私たちは今、そういう状況の中で
会社を経営しているのである。

ルールが変わったのであれば、やり方を変えるしかない。
これまでの会社経営の常識を根本から疑う。
そういう経営が今、求められているのだ。
お金で人は雇えないし、
そもそも雇うこと自体に昔ほどの価値がない。
ではどうすればいいのか。

お金に頼らずに、価値を生み出す。
人を雇わずに、人を動かす。
求められているのは、
これまでの常識を根底から否定する新しいカタチの経営。
金はあるけどアイデアも魅力もない。
そういう人には経営者が務まらない時代なのである。

 


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2件のコメントがあります

  1. 資本=お金が労働力を安く買って資本=お金を増やす資本主義が終わり、資本=お金の価値が相対的に下がり、人のやり甲斐や人の時間の価値が上がる。その価値転換を自分の肌感覚で捉えて行きたいです。

    1. もうそういう時代が始まっていますよね。お金に代わる価値を提供することが経営者の仕事になるでしょう。

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