会社の未来は社長で決まる。
そう言われてきたし私自身もそう信じてきた。
だがその考えはもう時代遅れなのかもしれない。
ここ数年、私はさまざまな業界、
さまざまな地域、さまざまな組織において、
新規事業の立ち上げサポートをしてきた。
うまくいった案件、うまくいかなかった案件、
まだどちらとも言えない案件と、色々あるが、
うまくいった案件にはひとつの共通項がある。
それは社員が自発的に動いてくれること。
結果的に言うと、社長ではなく社員のモチベーションと
能力が、そのまま成果に直結しているのである。
とくに重要なのはモチベーション。
会社のためではなく自分がやりたいかどうか。
ここが大きなポイントだ。確かに社長の存在は
重要だがそれは成功の本質ではない。
組織全体の戦略を考える。人や資金を集めてくる。
的確な指示を出す。決して諦めず粘り強くやり抜く。
これらは社長の役割であるし、
こんな社長がいれば会社は成長しそうである。
いや実際に成長してきた。
しかし残念ながら今はそういう時代ではない。
的確な指示を出しても、粘り強く頑張っても、
現場がついてこない。自発的に動いてくれない。
指示したことはやるがそれ以上のことはやらない。
会社をよくしていこう、自身もスキルアップしていこう、
という意欲を感じない。まるで人ごとのようだ。
言われたことを言われた通りにこなすだけでは
新規事業は立ち上がらない。
お金と時間がどんどん消費されていき、
社長の心も折れそうになっていく。
会社の未来は不安だらけだ。
考えてみれば社長の意欲が高いのは当たり前である。
自分の会社、自分の金、自分の未来がかかっているのだ。
問題は社員である。
社員には会社の指示命令を聞く義務がある。
だから給料分のことはやる。
それ以上のことはやらない。
とても理にかなっている。
会社が儲かってこそ社員も潤う。
仕事を頑張るのは自分のため。
それらのセリフは虚しく社員の耳を素通りする。
言っていることは間違っていない。
だが経営者の言葉は響かないのである。
指示命令ではなく、自らの意思でやりたい仕事に
取り組み、結果的にそれが会社の成長につながる。
この順番しか成り立たない。
多くの社員はそのような意欲すら失くしている。
社員の小さなやる気やアイデアを決して否定しないこと。
金は出しても決して口は出さないこと。
それが今の時代に社長が求められる役割なのである。
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