第76回 お酒は体に悪い。だけど心には良い?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第76回 お酒は体に悪い。だけど心には良い?

安田
私、お酒をわりとよく飲むんですが、ここ最近「たとえ少量であってもアルコールは百害あって一利なし」と言われることが増えてませんか? 昔は日本酒1合やコップ1杯のビールなら「むしろ体に良い」なんて言われていたと思うんですが…。

久保
確かにそうですよね。「酒は百薬の長」なんて言葉もあるくらいですから。
安田
そもそも世界中いたる所でお酒が飲まれているのに、本当に「100%体に悪い」なんて言えるのだろうかと不思議なんです。そのあたり健康人生塾の塾長として、どうお考えですか?

久保
そうですねぇ…正直に申し上げて、「体」には良くないですね。
安田
あぁ…やっぱりそうなんですね。私、お酒を飲んで楽しくお話するのが好きなんですけど、やめなくてはいけないですかねぇ(笑)。

久保
それで言うと、実は人間ってアルコールを摂取したときに、脳が「お酒が好き」と思うようになっているんですよ。
安田
え、どういうことですか?

久保
そもそもお酒を飲むと、脳からは「心地よく感じられる神経伝達物質=ドーパミン」が出る。そしてこのドーパミンは「糖」を摂取した時に出るものなんです。
安田
ほう。つまり甘いモノを食べるとドーパミンが出ると。

久保
仰るとおりです。そしてこの「糖」は人間にとって貴重なエネルギー源なんですね。今でこそ甘いモノって毎日いくらでも食べられますけど、大昔はそれこそフルーツくらいからしか摂取できなかった。
安田
なるほど。なかなか食べられないからこそ、体に入った時に気分がよくなるようになっていたと。そうすれば「次もこの甘いモノをしっかり食べておこう」という気持ちになれますもんね。

久保
そういうことです。そしてここで興味深いのが、アルコールは「糖」ではないのに、摂取すると脳からドーパミンが出るんです。これ、麻薬でも同じ現象が起こるんですけど。
安田
ははぁ…脳からドーパミンが出ていることで、「これは糖だ」と間違って認識し、しかも「貴重な糖なんだからたくさん摂取しないと」となってしまうわけですか!

久保
そうですそうです。だからドーパミンを大量に出すモノって「中毒性」があるんですよ。脳が「これは体に必要だから好き!」と判断して、片っ端から欲しがっている状態なので。
安田
なるほどなぁ。そう考えると「お酒が弱い人」って人類の最先端にいるとも言えませんか? 普通は飲酒するとドーパミンが出て気持ちよくなるのに、そうならない。それってつまり「アルコールは体に悪い」ということを、体がしっかり認識できているんじゃないでしょうか。

久保
わざわざ「体に悪いモノ」を取り入れなくてすむように、体が自衛しているんだろう、ということですか。それは面白い考え方ですね!
安田
ちなみに日本人って「一口飲んだだけでも顔が真っ赤になる」って人がわりと多いと思うんですが、そういう方たちはやっぱり飲まない方がいいんですか? それともちょっとずつ鍛えていけば、いずれは飲めるようになるんでしょうか?

久保
それは絶対飲まない方がいいですね。お酒を飲むと体内に「アセトアルデヒド」という有害な物質、つまり「毒」が発生するんです。それを分解できない体質なんだから、無理して飲むのは絶対やめた方がいい。
安田
では、ちゃんとアセトアルデヒドを代謝できる人だったら、お酒は飲んでも大丈夫ということですよね?

久保
そうですねぇ。あの…先ほどお伝えしたようにお酒は「体」には悪い。これは事実です。でも「心の健康」という副次的効果を考えると、多少の飲酒だったらいいんじゃないのかなぁと私は思っています。
安田
ああ、なるほど。体には悪いけど、心にはいい効果を与えることもあると。確かに気持ちが楽になってよく寝られるようになるとか、ストレスを発散できるとか、いいこともありますもんね。

久保
そうそう。だから必ずしも「100%悪いもの」とは言えないと思いますね。
安田
ちなみにどのくらいの量までなら、健康人生塾・塾長としてOKを出しますか?

久保
それは人によると思いますので、一概には決められません(笑)。ただ、いくら飲めるからといって「毎晩ワイン1本空けます」というような生活はおすすめできないですね。そんな生活を続けていたら、肝臓にダメージが蓄積していってしまいますので。
安田
ふむふむ。そこは「ほどほどに」ということですね。次の日に立てなくなるまで飲むのは良くないよ、と(笑)。

久保
そういうことです。飲まないに越したことはありませんが、くれぐれも「ほどほど」に楽しんでもらえればと思います。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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