2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第333回「外資vs国内資本の攻防」
石塚さん、コンビニはセブンしか行かないんですか?
まずローソンは使わないです。300メートルくらいなら歩いてセブンに行く。
ファミマは?
ファミマはスイーツだけ。
そんなにセブンが好きなんですか(笑)
大好きです(笑)
そのセブンがM&Aで大変なことになってます。
外資系企業になるか国内資本が守るかの一騎打ちですね。
伊藤忠が出資するかもしれないと言われています。
実はセブン-イレブンがここまでになった影の功労者って伊藤忠なんですよ。
そうなんですか。
そうなんです。だけど過去ちょっと物別れになったいきさつがあって。それで今は伊藤忠が自前でファミリーマートをやってるんですよ。
ファミリーマートって伊藤忠なんですか。
伊藤忠の完全子会社です。
じゃあセブンはライバル会社じゃないですか。
そうです。だから虎視眈々と狙ってると思います。伊藤忠は。
伊藤忠が買う理由はなんですか?
ファミマとくっつけたら国内圧倒的な首位取れるじゃないですか。
くっつけて全部ファミマにしちゃう?
いや、当面は2社でホールディングでも作るんじゃないですか。もしくは伊藤忠との共同出資会社を作って。いずれにしてもぶら下げると思います。
それぞれのファンがいますしね。
います。だから、そう簡単に看板を1つにしないけど、バックエンドは1つにする。相当効率は良くなりますよ。物流とか商品開発とか。
セブンとファミマがすぐ近くにある場合は、そのまま置いておく感じですか?
ファミリーマートはここ数年で都心にかなり出店したんです。だけどセブンはそれに比べると少し郊外だから。組み合わせとしたらいいと思う。日販40万いかない、いわゆる不採算店はここで整理・淘汰もできますし。
なるほど。でもセブンといえばコンビニの超勝ち組企業なので、別に出資を募る必要はない気もするんですが。
結局、外資からの防衛ですよ。
どうやって防衛するんですか?上場企業なので市場で株を買い占められちゃう可能性もありますけど。
おそらく上場廃止すると思います。
それって莫大な資金が必要ですよね?
7兆を超えると言われています。だから伊藤忠なんですよ。7兆円を超えるお金を用意するって銀行だってビビりますし。
伊藤忠が入ると銀行も動いてくれますか?
伊藤忠は業績もすごくいいから。「うちがコーディネートして責任持つから」って言ったら「ならちょっと乗っかろうか」ってなる。
7兆円も集まりますか?
非上場化するためには全部買わなきゃいけないので。それぐらい必要と言われてます。7から8兆円ぐらい。当然プレミアムつけないと買えないし。
カナダのクシュタールが「うちはもっと高く買うよ」って言ってくるかもしれない。
当然そうなるでしょうね。だから本当に攻防戦になる。外野としては非常に見ものなんですけど。
セブンが外資になってしまう可能性もあると。
あります。純粋な国内資本と外国資本の戦い。でも伊藤忠は欲しいでしょうね。これでコンビニ業界を牛耳れるわけですから。
セブンの創業家はどう思ってるんでしょう?どうせなら「自分たちで買い戻す」ってなりませんか?
7兆円はさすがに自己資金では無理だし、銀行もさすがにそれは貸さないでしょうね。
つまり上場廃止すると必ずオーナーも変わると。
おっしゃる通り。誰かが音頭を取ってコーディネートしてくれないと。そこに伊藤忠が手を挙げてるあたりさすがうまいなと思います。
伊藤忠にとっては7兆円って大したことないですか。
いや、もちろんリスクはあります。だけどリスクに見合う十分なリターンがあるとすれば、当然打って出るでしょ。
どうやって7兆円も集めるんでしょう?伊藤忠のメインバンクが出すんでしょうか。
伊藤忠が銀行団を組織してシンジケートローンを作るんじゃないんですか。もちろん伊藤忠も出資すると思いますよ。
なるほど。伊藤忠が全額保証するわけですね。
はい。ただし独占禁止法に引っかからないかどうかって別論ありますけど。
いずれにしても非上場化することは間違いないと。
この為替だとクシュタールが買わないとしても、どこかの外資が必ず手を伸ばしてくるので。
日本政府はセブンを守らないんですか?アメリカはUSスチールを必死で守ってますけど。
経産省は全く動かないですね。経産省からコメントも出てません。これが日本の基幹産業だったらまた話は別だと思うんですけど。
コンビニって今や国民の生活インフラですよ。
国の認識としたら「小売業だし別にいいんじゃねえの?」って感じじゃないですか。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。