現時点で労働力不足に陥っている会社・業界・地域は腹を括ったほうがいい。本当の労働力不足は「これから」始まるのである。日本の人口は2011年以降減り続けているが労働人口の減少はまだ始まったばかりだ。専業主婦世帯が激減していることからも分かるように、主婦・定年退職者・外国人によって労働力不足は補われてきた。しかし、それもついに限界に達しようとしている。
労働力が本格的に不足し始めるのは2027年から。だが人口動態は確実に予測できる未来なので、大手企業はすでに20代人材の囲い込みに入っている。新卒初任給35万円、年収500万円は、受給バランスがもたらす当然の結果なのだ。生産性の低い会社・業界・地域はもう労働力を確保し続けることが出来ない。文字通り人が「いなくなる」のである。
長く経営をやってきた人ほど想像しにくい未来だろう。だがこれは人口動態から確実に予測できる未来だ。10年後の20歳人口は今からでは増やしようがない。「人に作業をさせて利益を得る」という事業モデルはもう大企業でしか成り立たない。作業ではなく付加価値を生み出す仕事をさせる。一人当たりの収益をこれまでの3〜5倍にする。それ以外に方法がない。
中小企業がやるべきことは明白だ。まず徹底的に無駄をなくすこと。付加価値を生み出す仕事以外は徹底的に排除する。省人化、無人化、外注化を図り、高収益業務のみを社内に残す。自社だけの偏った価値に重きを置き、それを生み出せる偏った人材だけを好待遇で組織化する。年齢に囚われてはならない。50歳以上、60歳以上の人材でも、ターゲットとなる人材は積極的に募集し、採用する。ここまでやってようやく次世代中小企業へと生まれ変わる。
「そんな大それた組織改革ができるものか」と感じる経営者がほとんどだろう。実際に改革がなされる中小企業は2割がいいところだと思う。ゆえに廃業していく中小企業が山のように出てくる。とことん拡大するか、縮小して差別化するか、家業として身内だけでやっていくか。選択肢はこの3つしかない。
過去に類を見ない社数の廃業が2025年からスタートする。だがそれはまだ序章でしかない。本格的な労働人口の不足は2027年からスタートする。そしてそれは年を追うごとにどんどん加速する。スピードが落ちる可能性はゼロ。変化した会社しか生き残れない未来がやってくる。
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