第353回「シニア層のリゾートバイト」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第352回「新卒1社目の常識が違う」

 第353回「シニア層のリゾートバイト」 


安田

シニアのリゾートバイトが流行っているみたいです。

石塚

ええ。理由は2つあって。1つは単純にリゾート系のバイトを募集するときの採用ターゲット。「ここは狙えるな」っていう意図で動いてる。

安田

あえてシルバー層を狙って採用する会社が増えていると。

石塚

はい。2つ目は、いわゆる60過ぎの老齢期になると、自分が青春時代に遊んでいたところに戻りたい気持ちがすごく強くなる。

安田

へー。そうなんですか。

石塚

おそらく、この人たちが18〜20歳前後の時、リゾートで遊んでたり、リゾートバイトで盛り上がっていたんですよ。

安田

青春時代にリゾートバイトをしていた世代ってことですか。

石塚

そう。有名なパターンは「私をスキーに連れてって」ですね。

安田

はいはい。

石塚

スキー場に一冬バイトで食事と宿泊を見てもらえると。そこで仕事する代わりに休みの日はタダで滑れる。

安田

確かにいましたね。冬になるたびにスキー場でバイトする人。

石塚

ずっと生活のために働いてきたけど、子供が独立して残りの人生は自分のために生きていきたいって。そういう人たちですね。

安田

記事によると収入はかなり減っちゃうみたいです。

石塚

収入は激減するけど楽しいんでしょうね。

安田

ヤフコメを見ても「自分も行きたい」という意見が多かったです。このまま死んでいくのは嫌だって。

石塚

逆に言うと45歳以降の仕事って、ほんとにつまんないってことなんでしょう。

安田

そうなんですか?45って仕事がいちばん楽しくなる年齢ですけど。

石塚

それは安田さんだけですよ。サラリーマンの45〜50代って、とにかくお金の心配さえなければすぐにでも辞めたい。

安田

なんと。もったいない。

石塚

僕の周りで聞いてもまさにそんな感じですね。同じことの繰り返しで仕事にやりがいがないって。定年再雇用も同じことの延長で。とくに出世のレールに乗れなかった人。

安田

現場で働くのって楽しそうですけど。

石塚

もはや現場感すらなかったり。要するに誰がやってもいいような雑用。明確な権限も評価もなく、目立たぬように来て目立たぬように帰る、みたいな。

安田

なるほど。それはしんどいですね。ちなみに雇っている側はウェルカムですか。こうやって辞めていかれるのは。

石塚

経営者だったら早く辞めてほしいですよ。だって、それなりの給料を払っているわけじゃないですか。これが日本の低い生産性の現状ですよ。

安田

ところでリゾートバイトって若者に人気がありそうですけど、なぜ20代を採らないんですか? 

石塚

採れないんですよ。リゾートで募集出せばいっぱい人が来て「ゴメンなさいもう締め切りました」なんてのはもう遠い昔の話ですよ。

安田

そうなんですね。

石塚

どこも外国人ばっかりで言葉も通じない。安田さんはスキーなんてやってないですよね?

安田

やりませんね。

石塚

僕は好きで今でも行くんですけど。ガーラ湯沢のアルバイト、外国人だらけです。日本人を探すほうが難しい。

安田

お客さんも外国人ってことですか?

石塚

はい。ゲレンデで日本語をほとんど聞かないです。圧倒的にチャイニーズ系が多いですね。あとはアジア系。

安田

そんなところで日本人のシニアってニーズあるんですか?

石塚

はい。日本人のお客さんもいらっしゃるので。日本語が通じる人って喜ばれるんですよ。

安田

なるほど。

石塚

リゾートバイトに限らずこれからシニア層は狙い目になりますよ。

安田

今の仕事に疲れてていて「収入は下がってもいいから楽しい仕事がしたい」っていうシニア層ですね。

石塚

そう。たとえば7月オープン予定のJUNGLIA沖縄とか。日本中から「もうお金の心配をする必要ない」っていうシニアを集めたらいいんです。

安田

沖縄好きな人っていますからね。

石塚

沖縄にずっと住めて、休みの日は好きなことやって、最高じゃないですか。

安田

時給がそんなに高くなくても集まるかもしれませんね。

石塚

お金とは別の報酬があるから。青春時代の思い出とか、楽しさとか、異性との出会いとか。そっちがあれば給料が安くても集まるんですよ。

安田

異性との出会いですか。シニアで?

石塚

また恋愛があるかもしれないじゃないですか。住宅ローンと子供の教育がほぼ終わって2500万ぐらいの退職金があって。リゾートバイトやれば生活費くらいは稼げるし。

安田

第二の人生の始まりですね。

石塚

第二の青春ですよ。

\ これまでの対談を見る /

石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

感想・著者への質問はこちらから