庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第129回 庭の手入れが「趣味」に変わる瞬間

「庭のある家って素敵だなぁ」と憧れつつも、手入れのことを考えると「維持できるかな…」と身構えてしまう人も多いと思うんですよ。ただ中島さんと話していると、それって気の持ちようで楽しみにもなるんじゃないかと思っていて。

そうですよね。仕事でも「生活のために我慢してやっている人」と「好きでやっている人」とでは、パフォーマンスも精神的なストレスもまるで違うわけで。だから「楽しくて自然とやりたくなっちゃう」という方向に持っていくことが重要なんだろうなと。

そうですね(笑)。あとは、楽しさと手入れが両立する作業を見つけるといいですね。例えば「花柄(はながら)摘み」というのがあるのですが、これは咲き終わった花を摘み取る作業で、植物にとってもすごく重要なんです。そんなに大変な作業でもないですし、庭に出るきっかけにもなります。

「やりたくない作業」という前提だとそうですよね。それをどうやって「やりたいもの」に変えるか。例えば子育てでも、オムツ替え自体は面倒くさい作業ですけど、それを全くやらずに子どもが勝手に大きくなるとちょっと淋しいじゃないですか。

そうなんです。振り返ってみたときに、その面倒だった作業も含めて「一緒に生きてきた思い出」になるわけです。子どもも懐いてくれますしね。犬だって、世話をしてくれる人間に懐くじゃないですか。やっぱり「自分に懐いてくれる」というのは、人間をやる気にさせる大きな要因だと思うんです。

犬のように尻尾を振ったりはしませんが、植物も手をかければ応えてくれますよ。剪定をして全体のバランスがよくなった時に「ああ、この木は喜んでいるな」という感覚があります。「もう少しここを伸ばしてあげたいな」とか、木と対話しているような気分になるんです。

その感覚、よくわかります。私は桜の木を育てているんですが、花が咲いたときには「咲いたな」という客観的な事実以上に「自分たちのために咲いて見せてくれたんだ」という気持ちになります。人間の勝手な思い込みかもしれませんが、その思い込みがすごく大事な気がします。

そうやって感情移入できると、手入れも苦じゃなくなるでしょうしね。バラ好きの人がこまめに手入れをされるのも、肥料や剪定の仕方次第で花が大きくなったり色鮮やかになったりと、目に見える成果で応えてくれるからだと思います。

なるほどなぁ。ただ、そういったことに気付くにも知識や経験が必要な気がするんですよ。「雑木はこういう形が美しいんだ」とか「普通はこのくらいの大きさだけど、今年はすごい大きい花が咲いた」とか、基準を知っているからこそ感動できる。

植物も意外と、心地よさを身をもって表現してくれていたりするのかもしれません。犬好きの人が「今はご機嫌斜めだな」とわかるように、植物の「声」が聞こえるようになると、庭での時間がもっと豊かになる気がします。

本当にそう思います。実は先日、事務所にある苔が乾燥して縮こまっていたんです。冬なので休眠しているのかなとも思ったんですが、水をあげてみたんですね。そうしたら、パッと葉が開いて鮮やかな緑色に戻って。冬でも水をあげるとこれだけ元気になるんだ、と嬉しくなりました。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















