地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第102回 脳を衰えさせないための「好奇心」の保ち方

ただ、体に対してはそう思えるんですけど、脳はまた別なんですよ。衰えるのはちょっと怖いなと。だから脳みそが衰えないようにはどうしたらいいんだろうと考えるんです。スギタさんは脳のメンテナンスとかって考えたりします?

まだ若いですもんね。私も意識し始めたのは50代半ばぐらいからですし。例えば野球のグローブって使ってるとだんだん劣化するじゃないですか。でも全く使わなくても硬くなって劣化していくんです。だから手入れしながら使い続けるってことが長持ちの秘訣なんだろうなと。

個人的には「好奇心」がポイントかなと思ってまして。例えば最近、アロマディフューザーを買ったんですが、昔は香りで部屋をごまかす程度の機能としてしか見ていなかったのに、年を取ってからはすごく丁寧に使うようになったんです。

へぇ、いいですね。いろんなエッセンシャルオイルの香りを楽しんでるんですか。

そうなんです。まずはヒノキのアロマを入れて香りを楽しんで、1週間ぐらい経ったら今度柚子の香りを足してみたりして。そうすると最近なんか本当に脳に対する刺激をすごく感じるんです。昔は調べもしなかったのに、「なんでアロマオイルって価格にこんなに差があるんだろう」とか、いろいろ調べるんですよ。

そうなんですよ。一般的に花が原料の方が高くて、例えばバラのオイルを1滴とるのにバラの花が50本から100本も必要なんです。だから40滴分ぐらいで1万円ぐらいするんですよ。昔だったら高いなと思いながらも贅沢に使ってたと思うんですけど、今は買わずに欲しいなと思って眺めるだけにしてみたり(笑)。

へぇ、買わずに眺めているんですか(笑)。好奇心というと「あれもこれもやってみたい」という単純な欲求とは違って、もっと深く掘り下げていくような感覚なんですね。その想像力が脳によい刺激を与えていると。

そうそう。バラのオイルってどんな匂いがするんだろうとか想像するのが、自分の中で好奇心を最大化して、脳に栄養を与えている感じなんです。欲求は年を取ると減ってきますからね。若い頃はビバリーヒルズに住みたいとか思ってましたけど(笑)。

笑。僕はまだまだ「あれもこれも」っていっぱいある方なんですけどね。でも安田さんを見ていると、深く考える時間をちゃんと取られているんだろうなと思うんです。僕はただ反応してるだけで、短期的な思考しか使ってないんじゃないかという気がします。

そんなことないと思いますけどね。でも地底の岩石がどうなってるのかとか、全然生きていく上でも仕事にも何の役にも立たないんだけど、そういう本を見たくなったりします。単なる知的好奇心を満たすためだけの読書とかがやっぱすごく大事だなって気もしますよね。

なるほど。以前「人は違和感に立ち止まる」と仰ってましたけど、その違和感を見逃さないことが脳のメンテナンスにつながっているんでしょうね。僕はつい無視し続けちゃってますけど(笑)。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















