商品を持たない会社

世の中には「商品のある会社」と「商品のない会社」がある。この話をすると怒りだす人がいるのであらかじめ伝えておきたい。これはあくまでも私の勝手な解釈である。私が見る限り中小企業の大半は商品を持っていない。もちろん商売をしている以上は対価を頂くための何かを納品しているのだと思う。

だがそれだけでは商品とは言えない。商品とは「誰に、どのような価値をもたらすのか」「いくらで、どんな成果が手に入るのか」を独自に組み立てたパッケージであり、独自であるが故に同じ商品がこの世に存在しない。当然のことながら同業者と価格競争にもならない。これが商品を持つ会社の特徴である。

「つまり自社独自のオリジナル商品のことだね」と言われそうだが、それは半分当たっているが正解ではない。自社オリジナルであることは重要なのだが、そこに「売れる仕組み」が組み込まれていないと商品とは言えない。そもそも私が提唱するオリジナル商品とは発明のような「ゼロイチ」ではない。

今までにあった商品、すでに認知されている価値を、独自の視点で切り取り直したもの。この切り取り方にこそ独自性が必要であり、そこにこそ経営者の「意志・想い・こだわり・ビジョン・ミッション」が込められていなくてはならない。商品があるかないかは一つの質問に答えてもらえば明らかになる。

あなたの会社は「誰に、どのような価値を、いくらで」提供していますか?答えを聞いて「なるほど」と唸る、「その視点は面白い」「それは新しい」「すごく意味のある仕事だ」と感じる。「きっとこういう人が喜ぶだろう」というターゲット像が具体的に眼に浮かぶ。それがなければ商品はないのである。

ものを仕入れて利益を乗せて販売する。請けた仕事をこなして原価に利益を乗せて請求する。これで成り立っていた時代には商品など必要なかった。だがこの図式で中小企業が利益を確保することはもはや不可能な時代である。商品がなければ利益が出ない、給与を増やせない、続けられないのである。

同業者や世の中の大きなニーズに目を向けないこと。これが私からのアドバイスだ。それは大きな会社がやるべき戦略である。小さな会社が見るべきは「お困りごとを抱えた一人」であり、売るべきは「自分たちの特徴を活かした価値」である。まずは自分の会社、そして自分自身の特徴を徹底的に深掘りしよう。

 

 

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