この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
安田
私ね、日本人って本当に不思議だなと思うことが多くて。だって治安もいいしご飯も美味しい、世界中の人が「日本に行きたい」って言ってくれるような国に住んでいるのに、みんな「不安だ」って言うんですよ。
鈴木
確かに。紛争地帯みたいに寝ている間に爆弾が落ちてくる、なんて心配はないわけで。それなのに何を不安に思うことがあるんだって話ですよ。
安田
本当に。アメリカなんかだと生まれた家がお金持ちかどうかでその後の人生の選択肢がほぼ決まってしまうって言われていますが、そんな極端な格差も日本では考えづらい。要は自分の努力次第でいくらでもチャンスが掴める環境なんです。
鈴木
それなのに日本人って、「お金がないから子どもも作れない」なんて言いますよね。それって僕は、間違った情報に踊らされているんじゃないかなあという気がします。
安田
同感です。「お金がないから子どもが生まれない」っていうのは、ロジックとして少し無理がある。
鈴木
それでいうと、ちょうど先日、面白い話を聞いたんです。FCビジネスのオンラインセミナーを受けたんですけど、そこで結婚相談所の話が出て。
安田
結婚相談所…。FCで展開するほど儲けられる事業なんですか?
鈴木
僕も最初は「この少子化の時代に、わざわざ結婚相談所を使う人なんているの?」って思ったんですけど(笑)。でも話を聞いていくと、今までの自分はいろいろと勘違いしていたなってことに気づいたんです。
安田
ほう、例えばどんな?
鈴木
実は過去10年くらいの統計では、結婚したカップルは平均1.9人は子どもを産んでいるんですって。
安田
へぇ〜そうなんですか! じゃあ出生率が下がっている原因は…。
鈴木
そもそも「結婚する数」が激減しているのが原因なんじゃないかと。
安田
なるほどなるほど。結婚したカップルが子どもを作っていないのではなくて、そもそも結婚までたどり着けていないわけですね。でもなんでなんでしょうか?
鈴木
セミナーの講師によると、理由は2つあると。1つは「出会いがない」、そしてもう1つが「出会った後にどう動けばいいかわからない」、ということらしいです。
安田
ふむふむ。でも今ってマッチングアプリなんかもすごく市民権を得ているから、わざわざ結婚相談所に登録しなくても気軽に出会えるチャンスを作れると思うんですけど…。
鈴木
確かにマッチングアプリの普及で出会うキッカケは増えた。だけどマッチングした後にどうやってデートに誘うか、デートの時に何を話せばいいか、どうやってプロポーズをすればいいのか、そういうことが全くわからない人が増えているんだそうです。
安田
ははぁ…そこをサポートしてあげるわけか。確かに昔は職場とか近所にお世話焼きな人が1人や2人いて、なんやかんやとお膳立てしてくれていましたもんね(笑)。きっと今は、ああいう「お節介な人」みたいな立ち位置の人が少なくなっているんですね。
鈴木
まさにそうみたいです。だから今ってデートプランも丸ごと面倒見てくれる結婚相談所が大盛況なんですって。
安田
デートプランまで!? そんなもん、ネットで調べりゃいくらでも出てくるのに…(笑)。僕らの若い頃は
雑誌『ホットドッグ・プレス』とかを一生懸命読み込んで、デートやプロポーズの仕方を必死で勉強してましたよね?(笑)
鈴木
してましたね(笑)。でも今の若者はそうじゃないみたいです。「それでいいですよ」って後押しをしてくれる誰かの存在がないと、なかなか行動に移せないと。
安田
なるほど…。若者がそういう不安を抱えているから、結婚も増えないし、子どもも増えていかないわけですね。なかなか難しい問題ですね。ちなみに今って
東京都もマッチングアプリを作っているの、ご存知でした?
鈴木
あ、そうなんですか。行政がやってくれるなら安心感が格段に高そうですね。
安田
まさにそれが狙いで。登録するためには独身証明書を出す必要もあるし、マイナンバーカードなんかと紐づけたりもできるんですよ。だから今、そのアプリを使って結婚している人がすごく増えているんですって。
鈴木
あぁ、いい流れですね。
安田
ええ。でもきっと今の鈴木さんのお話を聞いていると、マッチングさせるだけではなくて、「もう一歩踏み込んだお節介」をしてあげないとダメなんでしょう。
鈴木
そうですね。結局、
ChatGPTみたいなAIに聞いても、最後は「本当にこれでいいのかな」と迷っちゃう人が多いんですよ。だからこそ「誰かのお墨付き」が欲しいんでしょうね。
安田
なるほどなぁ。そうやって先回りして不安に感じちゃうのって、日本人特有なんですかね? 私もイタリア人のように「女性を見かけたら口説くのがマナー」みたいな民族に生まれたかったですけど(笑)。
鈴木
笑。まあ日本って古来から「夜這い」の文化があったくらいですからね。表立って愛を叫ぶより、見えないところで愛を育むことを良しとしてきた民族性なのかもしれない(笑)。
安田
確かに(笑)。「目立つ行動は慎むのが当たり前」という流れから、だんだんと「自分の気持ちを表現するのが苦手」になってしまったのかもしれないですね。
鈴木
そう考えると、今の
退職代行の流行にも繋がっている気がしませんか? 自分で「辞めます」と言えないから、お金を払って「代行」してもらうわけですよ。
安田
あ〜なるほど! 自分が傷つきたくないのはもちろん、相手の顔色も伺いすぎちゃうわけか。相手にどう思われるのかを考えると不安になって動けなくなると。
鈴木
そういうことなんじゃないかなぁと思いますね。もうこれは「民族性」なんじゃないかなって。
安田
なるほどなぁ。もしかすると今の若者が不安になるのって、実は「正解がわからないこと」への不安なのかもしれないですね。
鈴木
僕なんかは「やりながら考えればいいじゃん」っていうタイプですけど(笑)、多くの日本人は「何かが起こる前に全部対策しておきたい」って思うから、余計に不安になるんじゃないかな。
安田
不安に思うことの97%は、起きないって言われているのに(笑)。
鈴木
本当ですよ。だからデートも結婚もとりあえず申し込んでみて、それがダメならまた別の一手を考えればいいんだろうけど、なかなかそれができない。だからこれからは意思決定を代行してくれるようなサービスがどんどん増えていくかもしれませんよ。
安田
なるほどなぁ。さながら「お節介ビジネス」ですね。鈴木さん、何かいいアイディアを思いついたら、ぜひ一緒に事業化してみましょう!(笑)
対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役
株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。
