第342回 企画書の向こう側

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/企画書の向こう側

 

多くの大手企業には、営業職がお客様に提出する“企画書を作成する専門部署”が存在します。

先日、某大手さんにて若手向けの“営業研修”を実施させていただきましたが、その場には、先述の“専門部署の方々”が複数名、サポートとして参加してくださいました。

若手社員の“プレゼンテーション演習”に対して、“資料の構成”“言葉の選び方”など、さまざまなフィードバックをくださいます。

さすがは日頃から多くの企画書を手がけている皆さん。

受講生にとっても、運営する私たちにとっても、“ありがたいサポート”でした。

ところが、研修の最後に少し驚くことがありました。

一日の感想を伺ったところ、専門部署のお一人が、こう話してくださったのです。

「入社以来、営業を経験したことがありませんでしたので、、」

「今回の研修で、私たちが作成した企画書が、実際にどのように使われているのかが分かってよかったです」

「えーー!!」

と、ワタクシ、心うちで驚いておりましたが、

同じような感想を話した方が、“他にも3人”いらっしゃったのです、、、

専門部署の仕事は、営業担当者の“受注率を高める”ために、“お客様向けの企画書”をつくること。

ですが、それをつくる人たちは、「実際の営業場面を見る機会がほとんどなかった」のです。

もちろん、“営業経験”がなければ、よい企画書をつくれないわけではありません。

皆さんのフィードバックからも、資料作成に関する“高い専門性”が伝わってきました。

ただ、少しだけ「もったいないな」とも感じました。

お客様がどのページで身を乗り出し、どの言葉に首をかしげ、営業担当者がどんな説明を添えているのか。

そんな“企画書のその後”を知ることで、専門性はさらに生きてくるのではないでしょうか。

大手企業では、仕事が細かく分かれています。

企画する人、つくる人、売る人、届ける人。

それぞれが自分の役割を果たすからこそ、大きな仕事を動かすことができます。

一方で、“分業”が進むほど、自分の仕事が誰に渡り、どこで役立っているのかが見えにくくなることもあります。

企画書をつくる人が、時々営業現場をのぞいてみる。営業担当者も、お客様の反応をつくり手に返してみる。

それだけでも、仕事は少しつながっていくように感じます。

今回の研修機会が、若手営業職だけでなく、企画書をつくる皆さんにとっても“新しい発見”になっていたのであれば、ありがたい限りなのです、、

専門性を磨くことと、自分の仕事の向こう側を知ること

よい仕事とは、その二つを行き来するところから生まれるのかもしれませんね。

 

著者の他の記事を見る


 

高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

感想・著者への質問はこちらから