第166回 地味な商品開発が最強な理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第166回 地味な商品開発が最強な理由

安田

最近ニュースで、エヴァンゲリオンとコラボしたスコップを見まして。エヴァを連想させるカラーとデザインで、普通のスコップよりだいぶ高い。話題になって売れているらしいんですが。


倉橋

ああ、けっこう話題になって売れているみたいですね。

安田

そうなんですよ。でもこういうやり方って本質的な商品開発になっているのかなと、ちょっと疑問に感じたんです。


倉橋

まず整理すると、そもそもあれは「スコップ」じゃないんです。スコップとしての機能で買っている人はいませんから。カテゴリーとしてはキャラクターグッズなんですよ。

安田

ああ、確かに。キャラクターグッズとして商品開発をしているわけですね。それを「スコップの新商品」として出すとちょっと違和感が生まれると。とはいえキャラクターグッズとなると、ブームは一過性ですよね。スコップばかり集める人もいないでしょうし。


倉橋

そうですね。マクドナルドもポケモンと組んだりしますけど、あれも一過性に過ぎないと思います。

安田

そうですよね。でもそれって何のためにやっているんでしょう。マクドナルド自体にファンがいるのに、わざわざおもちゃに結構な原価をかけて。食べ物よりおもちゃの方が原価が高そうな時もありますよね。


倉橋

あれは毒性のある広告手段だと思いますよ。おもちゃが欲しくて来ているだけで、マクドナルドのファンが増えているわけじゃない。でも一度やって数字が上がってしまうと、上場企業は昨年の実績を超えないといけないので、やめられなくなるんでしょう。

安田

なるほどなぁ。次の年はさらに超えないといけなくて、どんどん苦しくなりそうですけど。


倉橋

ええ。毎年それを続けていたら、どこかで必ず無理が来ますからね。個人的には控えた方がいいと思いますよ。

安田

やっぱり本質的な商品やサービスを磨いていくのが商売の基本ですよね。


倉橋

そう思います。僕としても、お客様が求めているものに応えることを追求していきたいですね。

安田

そうですよね。でもあらためて考えてみると、商品開発って意外と地味なものかもしれませんね。

倉橋

ええ、本当に。地味な作業の繰り返しです。中でも一番地味でかつ大事なのは「観察」ですね。消費者をひたすら観察して、ニーズを見つけていくんです。

安田

手っ取り早くキャラクターとコラボするのではなく。

倉橋

今あるものの掛け合わせで新しい価値を作る方が、ずっと着実だと思いますよ。キャラクターに頼るとどうしても一過性になってしまう。あの『鬼滅の刃』だって、5年も経てば勢いはなくなりますからね。

安田

あれほどのブームでも、もう売れなくなりましたか。

倉橋

売上ゼロにはなりませんけど、爆発的に売れるのは一時期だけですね。商品開発するときに一過性にならないように意識するのは大事なポイントだと思います。

安田

なるほどなぁ。私も商品開発のお手伝いを15年ぐらいやってきましたけど、最初は業界の人が思いつかないアイデアを出さなきゃと思っていたんです。でもそういうものって売れても続かないんですよね。

倉橋

わかります。長くやっていると、だんだん地味な方に落ち着いていきますよね。

安田

そうなんです。お客さんには「もっと突拍子もないアイデアが欲しい」と言われるんですけど、実際に長く売れるのは地味な改善の方だったりするんですよね。

倉橋

本当にそうですね。地味ということで言えば、圧倒的にニッチな分野でシェアを取るという考え方もありますよね。この間聞いた話では、ビリヤードのキューの先端のパーツって豚革で作られているらしいんですが、その世界シェアの4割を取っている日本人の方がいるらしくて。

安田

へぇ、すごい。1年に1回も買わないような商品ですよね。

倉橋

そうそう。すごくニッチなんですけど、その分野では圧倒的な1位のブランドになっている。しかもチャンピオンから5位ぐらいまでのトッププレーヤーが使っていて、それ自体が最高の広告になっているんです。

安田

トッププレーヤーが使っているという事実が、どんな広告よりも説得力がありますよね。同じものを使いたくなりますから。ただめちゃくちゃ地味ですけど(笑)。

倉橋

そうですね(笑)。でも地味だからいいんでしょうね。

安田

地味だから誰も参入してこないと。

倉橋

そうなんです。日本でトップになってもそこまで大きな市場規模じゃないかもしれない。でも世界の4割を取ったら何十億になる。そういう目のつけ方自体がもう商品開発ですよね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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