人間交換日記 96通目「この人の為にもっとましな自分に少しでもなりたい。」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


96通目/大野からの返信
「この人の為にもっとましな自分に少しでもなりたい。」

喩えになっているか分かりませんが、「テメェ、この野郎!どこ見てやがる」と直ぐに喧嘩する様な気性の荒い男が、街中から、四角いリングに場所を変えれば、根っこは変わっていませんが、人生が大きく変わります。又、以前も触れましたが、ラッパとして生まれてきたら、その後、どう努力してもクラリネットにはなれません。ただ、ラッパの鳴り方、何に響くのか?どんな曲を奏でるのか?誰を支持する音色なのか?は選べます。勿論技術も含めて成長し、やがては円熟して行くのではないでしょうか。鍵は思考の習慣づけ。そして実はもう一つあります。出会いです。この人の為にもっとましな自分に少しでもなりたい。そう思わせてくれる人との出会い。

前回95通目/安田「根こそぎ引っ越しできるのか?」

大野さんへ

なるほど。思考の住まいは引越しすることが可能だと。これは面白い考察ですね。確かに私は人生の中で大きく価値観が変わりました。性格も変わったと思います。私は物心ついた時にはすでに性格の悪い人間だったのです。迷子など他人の不幸は心から喜んでいましたし、学校でも嘘ばかりついていました。でもさすがにそこまで性格が悪いと生きにくい。それで仕方なくいい人を演じ続けたわけです。とくに社長になってからは責任感と人間性を演じ続けてきました。そして気がついた時にはちょっといいやつになっていたのです。そう考えると思考の住まいは変わるのかもしれません。でもどこかで「根っこは変わってない」という気もするんですよね。

ー安田佳生より

 

前々回94通目/大野「希望という住まいの人は恐怖が生まれても、希望へと帰って行く。」

安田さんへ

僕は日頃の思考習慣がその人の思考の住まいを決定してしまうと思っています。住まいは引っ越せば変えられます。例えば、怒りという住まいに住んでいる人も喜びという住まいに暮らしている人も、人間なのである刺激さえあれば、その刺激対象に対しての怒りが生まれたりします。問題は帰る場所です。つまり住まい。この住まいによって人生が分岐します。希望という住まいの人は恐怖が生まれても、希望へと帰って行く。ところが、極端にいうと住まいが恐怖の人は来る日も来る日も恐怖に怯えている。恐怖に支配され続ける。カラダが一週間や二週間で見違えるように進化することが無いように、思考習慣も一日、いちにちだと思うんです。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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