第87回 高値づかみは幸せを呼ぶ。

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

毎日のように家にものが届くようになりました。
トイレットペーパーなどの消耗品から、
食料品、ちょっとした工具やプレゼントまで。
そのほとんどは、ネットでの買い物です。

宅配便で家庭に届けてもらえるので、
大変ありがたいのですが、
多くの場合、配送代金はかかりません。
もし、自分で買いに行くとしたら、
時間とガソリン代をかけて買う必要があるので、
宅配の費用だけでも得した気分になります。

数年前、私の実家からオクラが送られてきました。
父が退職してから、畑を耕すようになったため、
そこでできたもののお裾分けでした。

父はオクラを育てるのが初めてだったため、
言われるまま、30株ほど育てたらしく、
最終的に1000個のオクラを収穫するに至りました。
もちろん、近所にわけたところで処理もできず、
私の家にも100本ほど送ってきたのです。
種の代金は3株分で20円。
送料は600円です。
オクラ100本にかかった費用は620円だということになります。
当時、オクラ10本はスーパーで100円くらいでしたから、
送料入れても安かったのです。
実際は安くても、100本はいりませんが。

そう考えていくと、
あらゆるものの材料費はとても安いのがわかります。
例えば自動車は1万もの部品でつくられているようですが、
それぞれを材料まで遡っていくと、
材料費はわずかで、
大部分は関わる人の給料で構成されていそうです。
送料にしても、実際にかかる燃料費や
車両代は限られていて、
その燃料や車両代すらも
その多くは給料となりそうです。

ということは、
一つの商品を消費するときには、
無数の人の雇用を生み、
給料を発生させる仕組みが
稼働しているのがわかります。
つまり、
消費をすることによって、
他人の収入を支えている。
そんな構図が見えてくるのです。

ただ、最近はその仕組みが崩れてきているようで、
商品のうち材料費の占める割合が、
相当高くなっているそうです。
冒頭のように、送料無料を吸収できなくなっている
ということになります。

「安く買うことができた。お得だった。」
私たちはそれを追求しようと思ってしまいますが、
商品を手に取って考えてみると、
「高く買うことができた。喜んでもらえた。」
という視点は、
自分も周りも幸せになる方法なのかもしれません。

 

著者の他の記事を見る


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから