【vol.201】HR領域の2022年のトレンド「セロサムゲームの人材獲得」

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


先週から、2022年最初のテーマとして「HR領域の2022年のトレンド」を取り上げています。
シンガポールと香港で有名「らしい」HRのサイトから引っ張ってきました。

今回の記事はコレ

HR in 2022: 7 key trends that will affect employee experience (and how to address them)
従業員エクスペリエンスに影響を与える7つのキートレンド(2022年のHR)
https://www.humanresourcesonline.net/hr-in-2022-7-key-trends-that-will-affect-employee-experience-and-how-to-address-them

7つのトレンドは下記の通りです。先に提示しておきますね。

Trend #1: ‘New Work’ will manifest in new and unexpected ways
Trend #2: The talent war is quickly becoming a ‘zero-sum’ game
Trend #3: Employee mental health and resilience will propel growth
Trend #4: HR will become decentralised, spurring new management skills
Trend #5: Diversity & inclusion will be a major competitive differentiator
Trend #6: People analytics will fuel buy-in for HR policies and change
Trend #7: New productivity KPIs will be needed to assess employee performance

先週に引き続き、トレンドを読み込んでいきます。

Trend #2: The talent war is quickly becoming a ‘zero-sum’ game
「人材獲得戦争」が急速に”セロサムゲーム”になりつつある

There are a handful of companies – large and small – that are widely known as top employers in a region, and companies not investing in the talent war are getting left behind. This results in a “winner-takes-all” zero-sum game due to limited talent availability in the short term, the report noted.

大企業であろうと、中小企業であろうと、地域トップの雇用者として知られるような企業はたくさんあり、「人材」に投資しない会社は取り残されるでしょう。
結果としては、短期的には人材の数に限りがあるので「勝者総取り」の”ゼロサムゲーム”になるでしょう。

特定の勝ち組企業だけに「優秀な人材」が集中して、それ以外の普通の会社と、こうした勝ち組企業との「人材差」はかつてないほどに広がる、ということですね。優秀な人は全員GAFAM、みたいな世界観ですね。

で、こうした現状に対して、各社のHR部門がフォーカスすべきことが2つ提言されています。

1. Formulate clear and transparent career paths and succession plans
明確で透明性のあるキャリアパスと、後継プランを策定する

なんか「それはそうですね」というのが感想です。
2022年じゃなくても、どの年でも言える「ド正論」ですね。
「ド正論」ってあんまり掘り下げても仕方ないので次行きます。

2. Encourage just-in-time recognition, engagement via non-work activities, and the ability to disconnect after work
効率化の認識、業務外活動を通じたエンゲージメント、業務後に“disconnect(切断)”出来る機能、を推奨する

「ability to disconnect after work」っていう概念は面白いですね。
「Workの後にすぐにdisconnect(接続を解消)する能力/機能」を推奨するわけですね。
特に自宅からのリモートワーク(WFH)だと、必要な業務が終わった後も、PCの前で仕事に関係する作業をそのまま続けることも可能な世界になったので、「直ちに切断する能力/機能」を持ち合わせている組織かどうか?が、組織全体の「生産性の向上」や「エンゲージメントの向上」に繋がるということでしょうね。

「いかにつながれるか」に価値があると言われがちな世界の中で、「いかに切断できるか」を追求して、「繋がることよりも、むしろ切断することでエンゲージメントが向上する」ような組織づくりが出来るとしたら、それこそが現代最高のHR戦略と言えそうです。

繋がれる価値(圏内)よりも、繋がらない価値(圏外)が再評価される世界へ。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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