日曜日には、ネーミングを掘る #028 男たちの大リーグ

今週は!

↑これ、「今日は」の
ウィークリー版として
発明してみました。
いかがでしょう(笑)

今回は、ネーミングは掘らず、
先週に引き続き、
スポーツの話を書いちゃいますね。

この季節、
BSの大リーグ中継を観ると、
読みたくなる一冊の本があります。

米国人ジャーナリストで、
ピュリッツァー賞受賞者
デヴィッド・ハルバースタムが書いた
『男たちの大リーグ』がそれです。

この本は、
原題『SUMMER OF’49』の通り、
1949年夏から秋にかけて大リーグであった
白熱のペナントレースの模様を、
ヤンキースとレッドソックスの闘いを
中心に描いたものです。

私が好きなエピソード、
読むたびに場面を想像して
鳥肌が立ってしまうのは、
この物語の後日談にあたるもので、
一人の選手とファンとの出会いを
紹介した一節です。

生粋のレッドソックスファン、なかでも二塁手ボビー・ドウアーの大ファンだった少年、パート・ジアマッティは、ドウアーの後を受け継ぎレッドソックスの二塁を守りたいという夢叶わず、エール大学の教授になり、やがて総長となった。しかし、この間もレッドソックスを愛する気持ちを一度も失うことはなく、やがて学内の抗争に疲れたこともあり、ナ・リーグの会長となる。

協会の幹部となった最初の年、ジアマッティは殿堂入りの選手を祝うために、ベースボールの聖地クーパーズタウンを訪れる。そこに、偶然ドウアー夫妻も来ていることがわかり、紹介される。幼い頃からの憧れの人を前に、緊張で上がってしまうジアマッティ。それでも「ミスター、ドウアー。あなたはわたしのヒーローです」と、挨拶を切り出した。

思いがけない告白に驚いたのは、夫妻の方だった。エール大学の元総長がドウアーを誰か知っていて、しかも会いたがっていたとは夢にも思っていなかったからだ。ミセス・ドウアーは言う。「ミスター、ジアマッティ。あなたこそ、私どものような者にとって、ヒーローですわ」

エピソードは、
ジアマッティの心境をもって
こう締めくくられます。

三人そろって会場を去るとき、バート・ジアマッティは二重の興奮を覚えていた。自分のヒーローに会えた上、そのヒーローが、まさに自分が思い描いていた通りの人物だったからだ。

優れたスポーツ選手だけが持つ、
特別な輝き(shining)

秋は、その輝きが一層増す季節。

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