日曜日には、ネーミングを掘る ♯143「『ネーミング全史』を読む」

今週は!

先週は、ネーミングについて某新聞社からインタビューを受けたり、友人のオンラインサロンでタグラインの話をしたり、おもしろたのしい一週間であった。

ネーミングとタグライン(社名や商品・サービス名に付く短いフレーズ)とは密接な関係にあるが、いずれも、ボクはこれまでほぼ自己流のやり方でやってきた。

が、今回、上のふたつのタイミングが重なったこともあり、以前から開頁したいと思っていた『ネーミング全史』を読んだ。著者は、岩永嘉弘さん。ネーミング開発の一人者であり、「民主党」、渋谷「bunkamura」「109」、「日清oilio」、「ソラシドエア」などの名付け親である。

我が意を得たり、というか、これぞネーミングの核心と思われる文章があったので紹介したい。

-PCの、あるいはスマートフォンのあの小さな画面上で展開される広告に、たくさんの勧誘コピーは説得力を持ちません。画面によってはジャマでしかない。結果としてネット広告のコピーは短くなりつつあります。コピーが減って、表現がシンプルになれば、残るのはネーミングです。ネーミングだけがあればいい。

もうひとつ、こちらも重要なこと。

-新商品の数は増えるのに、不況だから広告費は増えない。むしろ減少する、という事態が起こる。すると、広告を出してもらえない商品が生まれてくる。発売に際して「広告してあげられないから一人でがんばりなさい」と突き放されるモノが出てくるわけです。さあ、どうするか。

突き放された商品やサービスが、一人でがんばって自己紹介するには、まず自分の名前であるネーミングで勝負するしかない。これは大手企業だけでなく、予算の少ない中小零細企業にこそ、当てはまる。

お金がないからネーミングには使えない。ではなく、お金がないからこそ最大限の予算をネーミングに投じるべきなのである。

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