第14回「未来の利益を知財で独占」 

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 14  未来の利益を知財で独占

知財は独占をもたらす武器、と言われます。
「でもウチは競合と似たりよったりの技術力なんだよなぁ。画期的な特許なんて取れないよ。」そうお嘆きの中小企業の社長の皆さん。待ってください!
知財=特許とイメージしがちですが、他にも手段があるんです。

誇らしいことに、日本には技術力で世界と戦える突出した中小企業が存在します。
一方で、400万社以上ある中小企業の全てがそれに当てはまる訳ではありません。競合との技術の差が少なく、同じ地域で同じような商品を展開せざるを得ない会社がたくさんあります。

そんな横並びの状況から抜け出すのに必要なのが、コンセプト。コンセプトを点ではなく「面」で抑えられるようなネーミング。この二つです。
そして、ネーミングを独占できるのが商標です。

コンセプトの切り取り方は無数にあります。まだ世に無いものばかりです。まだない未来のマーケットを作り出し、合法的に独占する。商標とは、未来のマーケットを予約する権利とも言えるのです。

■未来のマーケットを予約した事例

商標登録第6245346号(出願人:ソルナ株式会社)

【商標】
ネットの履歴書

【指定役務】(一部抜粋)
個人の身元又は行動に関する調査 など

 


バイトテロに象徴されるように、応募者の資質が会社に直接ダメージを与える時代になりました。
企業は、損害を与える応募者は採りたくない。でも履歴書や面接だけでは「素の姿」はわからない。そんな採用担当者の切実な願いを解決するのが「ネットの履歴書」です。
SNS、ブログ、ネット掲示板といったネット情報をAIが検索・解析。ネット情報を基に応募者の健全度を調査するサービスです。友人によるネット上の評判、裏アカウントの書き込みまで調査するという徹底ぶりです。

ソルナ社の場合、サービスの質や技術力も高いですが、注目すべきはコンセプト。「応募者の素を見える化する」という切り口です。採用担当者が日常的に使いそうな「ネットの履歴書」というネーミングは、ビジネスを点ではなく面でカバーしています。そして、商標権をとることで、そのエリアの合法的独占に近づくのです。

採用面接で必要なものは履歴書、職務経歴書、そして「ネットの履歴書」という日は遠くないでしょう。まさに未来のマーケットを予約したお手本のような事例です。

さて、あなたも未来のマーケットを合法的に独占してみませんか?

 


 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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