第63回「アンブッシュ・マーケティング」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第63回  「アンブッシュ・マーケティング」

今回は少しお勉強チックなお話。オリンピックと知財についてです。

オリンピックに関するシンボルやスローガン等は、知的財産として保護されているので、第三者は自由に使用できないことになっています。

(出典;大会ブランド保護基準)

加えて、IOCやJOCは、アンブッシュ・マーケティングも禁止しています。
アンブッシュ・マーケティングとはオリンピックのイメージを流用するような広告宣伝活動のことで、例えば以下のワードの使用は制限されています。

<ワード例>
祝!東京五輪開催
2020 スポーツの祭典
目指せ金メダル
ロンドン、リオそして東京へ
2020 へカウントダウン


未来コンパスが指すミライ

しかし、上記のワード例は、商標登録がされていません。なぜ使用を制限できるのでしょうか。
過去のオリンピックでは、オリンピック特別法が制定されましたが、東京オリンピックでは、特別法の立法が見送られたので、それを根拠にアンブッシュ・マーケティングを規制することは出来ません。第三者の行動を強制的に制限できるのは法律だけ。政府もIOCもJOCも例外はありません。
アンブッシュをするか否かの判断は、行政との関係や業界の慣行など様々な要素によりますが、現行の法律によって、IOC等が使用を制限するのは難しいように思います。

実は、東京オリンピックは、20世紀に入って、アンブッシュ規制の特別法が制定されなかった、はじめてのオリンピックです。この点も含めて、近年は規制が緩やかになっている傾向があるように感じます。と言うのも、これまでの規制に対して、“やり過ぎでは?”という不平不満がSNSなどのツールの発達により明るみになったことが一つの要因と言われています。

著名人に限らず、個人のコメントがSNS上で大きな話題になることは、皆さんよく目にしていることと思いますが、これが法律にも影響を与えるというのは珍しいケースだと思います。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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