第72回「自分にとっての情緒的価値」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第72回  「自分にとっての情緒的価値」

「これ考えた人、頭良いなぁ~」と感心したサービスがあります。Wise (旧TransferWise)です。


国際登録第1590102号(審査中)
商標権者:TRANSFERWISE LTD
【商標】

【指定商品/指定役務】外国通貨取引・外国為替取引・外国通貨決済・外国為替換金・外国通貨勘定及び外国通貨振替 電子的な外国通貨決済処理 アプリケーションソフトウェア等


Wiseは、国内送金を活用した新しい海外送金サービスです。
送金人が自国(A国)にあるWise口座にお金を振り込むと、Wiseが、相手国(B国)のWise口座から受取人の口座に同額を入金します。

(A国)送金人の銀行口座 → A国のWise口座
(B国)B国のWise口座 → 受取人の銀行口座

実は、2つの国内送金が行われているだけで、実際の送金は国境をまたいでいません。
従来、海外送金をする場合、複数の中継銀行が仲介します。そのため、手数料が高くなり、送金日数も長くなります(Wiseのサイトによると、従来サービスに比べてコストは最大1/8、日数は約1/3)。

未来コンパスが指すミライ

Wiseの特徴は「早い」「安い」「便利」といった機能的価値を訴求するものです。
近年、マーケティング/ブランディングにおいて、共感・つながりといった情緒的価値が重要視され、品質などの機能的価値はアピールされない傾向にあるようです。

ですが、私はこの点がどうもしっくり来ません。
私は、早くて便利なものが大好き。と言うよりも、「遅くて」「煩わしい」ことがとにかく嫌です。スーパーで行列に並ぶのはストレスだし、面倒な手続きにも辟易します。このような機能面に対してアンテナが立ちまくっている自分は、流行りの情緒的価値が分からないと思い悩んでいました。
しかし、Wiseを深堀りしている時に気づきました。早い・便利といった点は、「私」にとっては、情緒的価値なんだと。レジ待ちはイライラするし、対応が遅いと頭にくるし、怒ってばかりの私ですが(笑)、反対に、それらを解決してくれるサービスは、私の気持ちを晴れやかにしてくれます。
世の中のマーケティングスタンダードとは異なりますが、「早い」や「便利」といった機能面は、私にとって十分情緒をくすぐるポイントです。

機能だとか、情緒だとか、世間が決めた括りはひとまず無視して、自分が感じたことを自分なりに定義することの重要性に気づいた事例でした。
世の中で言われていることが、なんかしっくりこないんだよな~という所に、その人の個性、その会社の特性がある気がします。そこにミライの自社ビジネスのヒントが隠れているかもしれません。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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