スタッフの賃上げ要求にどう答える?〜お医者さんは、なやんでる。 第123回〜

第123回 「スタッフの賃上げ要求にどう答える?」

お医者さん
お医者さん
いや困った……時給アップしないと辞める、だって? まあ、確かに最近は円安やら何やらで物価高騰も激しいからな。
お医者さん
お医者さん
とはいえ、そう言われても簡単に給与を上げられるわけじゃない。医療費は勝手に金額を変えたりできないんだ。
そうですよね。実は医療って、売上を伸ばすのがけっこう難しいんですよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんだよ……値段を決めてるのは国だからね。売上を上げるには患者数を増やすしかないが、体調の良し悪しを私たちが決められるわけじゃないし。……って、君は一体?
はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
へえ、ドクタアバターね。じゃあ教えてほしいな。君ならスタッフからの賃上げ要求を聞き入れるかね?
そうですね。その方がクリニックになくてはならないスタッフさんであるなら、何とかしてあげたいですよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
もちろんそれは私も同じ気持ちだ。だがね、「売上はそのまま。給与は上げる」なんてことを続けていれば遠からずクリニックが潰れてしまうよ。
確かに「売上」で対処しようとするとそうでしょうね。しかし、「経費」はどうでしょう?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
経費?
はい。収入を増やすのではなく、支出を減らす方向はどうかということです。私が先生の立場なら、まず経費の棚卸しをするでしょうね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ、なるほど。まあ経営者たるもの無駄な経費は1円とも出したくないものなあ。でもね絹川さん、いろんなサービスがあるけど、解約作業ってものすごく面倒なんだよ。
ええ、存じております。意図的にわかりづらく、面倒くさくさせていている感じですよね。契約する際はあんなにわかりやすいのに(笑)。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうそう!そうなんだよ!業者さんも、契約時は飛んできてくれるのに、解約の依頼には腰が重い。まあ気持ちはわからんでもないがね。
つまり経費の棚卸しには時間的・心理的なコストがかかると。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そういうことだね。やるべきなのはわかるし、実際ちゃんと手を付けたいんだが、なかなか食指が動かないというか。
そこで一つオススメがあるんですが、その業務を賃上げ要求されているスタッフさんにお願いしてみては?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え!? どういうこと?
先生はスタッフの賃上げをするために棚卸しをしなければならない。でも大変だから自分ではやりたくない。であるならスタッフさんご本人にやってもらえばいいんです。
絹川
絹川
多少面倒でも、「自分の時給アップのためだ」と思えば頑張れるものじゃないですかね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
な〜るほど!いい案かもしれない!
経費が削減され、スタッフさんの賃金アップも成されれば、どちらにも損はありません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かにそういうことになるね。うん、その方向で考えてみようかな。
そうですね。もっとも、中長期的には今よりも少ない人数で回せる運用を考えるべきだとは思います。人口減少で患者さんは減りますし、スタッフの採用も難しくなっていく。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあね。国は医療費削減の施策をガンガンに進めているし。
そういう事です。なのでそういう意味でも経費の棚卸しは早めにやっておいた方がいい。時給アップという多少のコストを引き受けてでも。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどなあ。部分最適じゃなく全体最適で考えるってことね。
仰るとおりです!今後はますます、中長期的な視点での改善が必要になってくると思います。
絹川
絹川

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

感想・著者への質問はこちらから