「新患割合」を把握せよ〜お医者さんは、なやんでる。 第144回 〜

第144回 「“新患割合”を把握せよ」

お医者さん
お医者さん
ウチも開院から丸4年か。オープン早々にコロナ禍が始まって……それからは落ち着く暇もなかったなあ。
お医者さん
お医者さん
ともあれ、やっと世の中も元に戻りつつあるし、あらためて患者数を増やしていかないと。……でも、何をどうやればいいんだろう。
ここ3〜4年は医療業界に限らずバタバタでしたもんね。宣伝もなかなかしづらい状況でしたし。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんですよね。オープンしてすぐにそういう状況になってしまって、よくわからないまま4年が過ぎちゃった感じで。……って、あなたは一体?
初めまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
へえ、なんだか頼りになりそうな方ですね。ちなみにウチが患者数を増やそうと思ったら、どういうことをすればいいんですかね。
そうですね。オープンしたてのクリニックと何年か経ったクリニックではやることが異なります。例えばオープンしたての場合は、とにかく新患を増やす必要がありますよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうですよね。ただ、ウチの場合はコロナでむしろ患者さんが増えたケースなので、正直あまり広告も打たずとも何とかなっちゃったんですよね。
なるほど。ともあれ、そろそろコロナも落ち着いてきましたしね。世の中が平常に戻っていく中で、あらためて戦略を考えたいと。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ええ、まさにそういうことです。でも、何をどう始めればいいのかわからなくて。
そうですね。開院から4年ということなので、もう新患割合も一定数に固まってきているはずです。まずはそこに着目するのがいいと思いますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
新患割合というと?
全患者さんに占める新患の割合です。一般的に内科、外科、整形などは10%前後、小児科、耳鼻科、産婦人科は2030%程度といわれています。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。新患割合が10%ということは、10人に1人が新規患者さんだってことですね。
そういうことですね。先生のクリニックは内科メインですが、だいたいどれくらいの割合になっていますか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ええと……だいたい20%くらいかな。ということは、平均が10%なんだから、かなりいい感じに新患さんに来てもらえてるってことなんですかね。
そうとも限りません。新患割合が高いということは、再来患者の割合が低いということでもあります。リピートで来てくれる患者さんを集められていない可能性もあるわけです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、確かにそうか。
一度受診したけど、何らかの理由で他のクリニックに行ってしまった。そんな患者さんが多いのかもしれませんね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
う〜ん、言われてみればそうかもしれない。
そういう状況で広告を打ったらどうなるでしょう。新患はさらに増えるかもしれませんが、再来患者が減るかはわかりませんよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうですよね。つまりウチが取り組むべきは、新患へのアプローチではなく、既存患者さんへの対応改善の方だと。
ええ。先ほどの新患割合が正しいとすると、まずは現状把握をしてみるのがいいと思います。医師の診察態度、受付の接遇、看護師の対応、施設の清掃状況などですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむふむ。問題点を洗い出すってことですね。
仰る通りです。あるいは医療版のミステリーショッパー(覆面調査)に依頼して、患者さんの満足度調査をしてみるのも手ですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そんなこともできるんですね。なるほど。患者数を増やす=広告を打つっていう考えしかなかったけど、視野が狭かったなあ。
まずは新患割合を調べてみて、データに基づいた戦略を練ることが重要です。イメージだけで進めるのは危険なので。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
それはそうですよね。よし、ちょっと本腰を入れてデータをチェックしてみます。
はい!それがいいと思います!
絹川
絹川

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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