「事業再構築補助金に応募してみる」〜お医者さんは、なやんでる。 第54回〜

第54回 「事業再構築補助金に応募してみる」

お医者さん
お医者さん
父親からこのクリニックを継いでもう10年か…。父の代から通ってくれていた患者さんも高齢になってきて、亡くなる方も増えた。かといって新規の患者さんも期待できない。
お医者さん
お医者さん
考えてみれば僕は、父が作ったクリニックで、父が集めた患者さんに頼ってきただけなんだよな。「経営者」という感覚もあまりないし、この先どうしていっていいかまるでわからない。

なるほど、二代目・三代目の先生に多い悩みですね。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
二代目…か。なんとなくそう言われることに抵抗があったけど、客観的に見ればその通りなんだよな。って、あなた一体どなたですか。

はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ふうん、お医者さんの悩みねえ。じゃあ、僕みたいな悩みに対してもアドバイスができるのかな。

そうですね、事業再構築補助金に応募してみるというのはいかがでしょう。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
事業再構築補助金? ああ、国が始めた中小企業向けの補助金制度だね。でもそれ、医療系は対象外じゃなかった?

確かに医療法人は対象外なんですが、個人経営のクリニックなら大丈夫なんです。審査が通れば、100万から最大1億円の給付が受けられます。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
う〜ん、まあ確かに、そういった制度を活用していくのも手だね。売上はこの先もっと厳しくなっていくだろうし。よし、ちょっと応募してみるよ。

いえ、先生。私が事業再構築補助金を提案したのは、補助金そのものが目的ではないのです。それに、そもそもこの補助金の審査は非常に厳しいです。「ちょっと応募してみようかな」くらいのレベルではまず通りません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む……あなたが言ったからそれを素直に受けただけじゃないか。それに何だって? 補助金自体が目的じゃない? じゃあ一体何が目的だと言うんだ。

ズバリ、事業計画書の作成です。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
は? 事業計画書? そんな話、どっから出てきたの。

先ほどもお伝えしたように、この補助金の審査はかなり厳しいのです。つまり国は「この会社に補助金を渡す価値があるのかどうか」をちゃんと見ている。本気で補助金をもらいにいくのなら、正しいフォーマットで作られた様々な書類を用意する必要があります。そしてその中でも特に重要になってくるのが、事業計画書なんです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
……なるほど、要するにちゃんとした事業計画書がなければ、補助金はもらえないってことか。…でもね絹川さん、それじゃ話が堂々巡りだよ。僕がぼやいているのを聞いていただろ? 父から事業を受け継いだだけの僕が、事業計画書なんて作れるはずないじゃない。そしてあなたは、事業計画書がなければ補助金はもらえないと言う。でも僕には事業計画書は作れない。ほら、堂々巡りだ。

先生自身が一人で作成する必要はないんです。認定支援機関がたくさんありますから、そこと二人三脚で作っていけばいい。しっかりした事業計画書が作れれば、補助金の申請に使えるだけでなく、その後の経営にも非常に役立ちます。そもそも事業計画書というのはそのためのものですから。
絹川
絹川
いいですか先生、つまり私は、今回の補助金申請を「今後の経営方針をじっくり考えるチャンス」と捉えましょうと提案しているのです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
! 補助金自体が目的じゃないって、そういうことか。

ええ。先生に必要なのはキャッシュではなく、経営者視点です。そしてそれには事業計画書が不可欠なんです。実際この補助金に応募した人の大半が「事業改革を考えるいいキッカケになった」と発言しています。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
なるほど。あなたの言いたいことがわかってきたよ。僕自身がちゃんと「経営」を真剣に考えられるようにならなければ、一時的にキャッシュが入ったところでジリ貧だものな。うん、なんだか視野が広がった感じがするよ。

私は認定支援機関の人間ではありませんが、そういった専門家を紹介することは可能です。もし必要があればぜひお声がけください!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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