「駅に病院の看板を出すより効果の出るPR方法」〜お医者さんは、なやんでる。 第100回〜

第100回 「駅に病院の看板を出すより効果の出るPR方法」

お医者さん
お医者さん
うーん、今月もなかなか厳しい結果だな。コロナもだいぶ落ち着いてきたというのに、患者数は減っていくばかり……。
お医者さん
お医者さん
こういうとき、病院のような“待ち”のビジネスは難しいな。売上が下がっていくのをただ見ていることしかできない……。
そうですよね。お医者さんの多くはどうしてもそういう風に考えてしまいます。でも、そんなことはないんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? そんなことはないって、どういうこと? ……っていうか、あなた一体どなたですか。
はじめまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん……でも、さっきの話だけど、病院が“待ち”のビジネスだってのは事実でしょ。健康な人に対して「ウチの病院に来て下さい!」なんて言っても仕方ないわけで。
確かに病院に行くのは具合が悪くなってからですもんね。そして病院側としては、誰がいつ具合が悪くなるかなんてわからない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうそう。つまり病院が患者さんにPRするのって難しいんだよ。せいぜい、駅に看板を出すとか、病院のホームページを作るとか、そういうことくらいでしょ? それに、そういったPRに大した効果があるとも思えない。
仰ることはわかります。でもそこでちょっと視点を変えてみましょう。たとえば、「病院に行くほどではないけど、なんとなく体の調子が悪いなあと感じている人」って、けっこうたくさんいませんか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? ああ、まあそうだろうね。コロナの件もあってか、最近の人は「健康」にすごく興味があるよね。自分の症状をネットで調べてから来る患者さんも多くて、医者としては少しやりにくいんだけど。
まさにそこです! 今は皆さん、手元にあるスマホであらゆることを調べまくっているんです。仰ったように「健康」というのはその中でもかなり注目度の高いトピックだ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだろうね。でも、それがどうしたの?
そうやって「健康に関するキーワードでネット検索をしている人」に対して、PRする方法を考えてみてはどうだろう、という話なのです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? ちょっとよくわからないな。
そうですね、具体例を一つ上げると、最近タイムチケットというサービス上で、医師が悩み相談を受けるというサービスが人気になってきています。健康に関する悩みを、専門知識や経験を持った医師に相談できるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
へえ〜、そんなのがあるのか。……なるほど、ちょっと話が見えてきた。具合が悪くなった人に病院をPRするのではなく、健康に興味関心がある人たちに、医療の専門家としてアドバイスを行うと。
はい。そこで相談者の信頼が得られれば、それはすなわち「見込み客が増えた」ということです。具合が悪くなった際は先生の病院に行ってみよう、と思ってくれるでしょう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ってことだね。でも、ネットだと近所の人ばかりじゃないからなあ。物理的にうちの病院に来れない人の場合もあるでしょ?
遠方の方には「オンライン診療」のシステムを導入してはいかがでしょう。もちろん対面でしかできない処置もありますから万能ではありませんが、最近は薬もオンラインで処方できるようになってきていますし、使い方によっては新しいビジネスの柱になり得ます。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど、たしかにそう言われればいろいろ工夫できそうだな。それに、駅の看板よりも効果が期待できそうだ。
はい。重要なのは医療=“待ち”だと決めつけず、どうやったら新たな見込み客を作れるか、とフラットに考えてみることなんです。今日紹介したタイムチケットも、その手段の一例に過ぎません。視野を広げてみれば、効果の出るPR方法がまだまだ考えられると思いますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うん、あなたの言う通りかもしれない。ちょっと具体的に考えてみるよ。その際はまた相談に乗ってもらえる?
もちろんです!いつでもお声掛け下さい!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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