第38回 スーパーの「安売り合戦」の弊害

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第38回 スーパーの「安売り合戦」の弊害

安田
前回、冷凍食品が美味しいというお話が出ましたけど、それにしても美味しすぎやしないかと思うわけです(笑)。私たちの年代のイメージだと、冷凍食品って「安いけど美味しくないもの」だったじゃないですか。

久保
確かに(笑)。でも最近は本当に美味しくなってますよね。野菜なんかも、下手したら冷凍の方が生で買ってくるより美味しく感じたりしますし(笑)。そういえば先日、冷凍のお寿司を食べたんですが、それも品質がかなり良かったです。
安田
え、冷凍寿司ですか! お寿司こそ鮮度が命だと思うんですけど…本当に美味しいんですか?(笑)

久保
ええ、嘘偽りなく美味しかったです(笑)。解凍したら、冷凍寿司なのか通常のお寿司なのか、見分けがつかないくらいでした(笑)。
安田
へぇ〜、そうなんですね。私も今度見つけたら食べてみようかな(笑)。

久保
ぜひぜひ(笑)。でも先ほど安田さんも言われていた通り、冷凍食品に悪いイメージを持っている人って意外と多いですよね。個人的にはそれ、世代と言うよりスーパーの「安売り合戦」が元凶なんじゃないかと思っているんです。
安田
確かにスーパーでは冷凍食品をよく安売りしてますもんね。それで「安かろう悪かろう」と思われているんじゃないかということですか?

久保
そうなんですよ。今ってどこのスーパーでも毎週のように冷凍食品の特売日があって、半額セールとか安売りが当たり前だったりするわけですよ。
安田
それだけ値段が違うなら、特売日以外に買うのは損ですよね。冷凍庫さえあればかなりの時間保存できるわけだし。

久保
まさにそこなんです。実際、あるスーパーでは1ヶ月の冷凍食品の総売上額が、特売日に売り上げた額とほぼ同じということもあるらしいですよ。
安田
へぇ! でもまぁ、そうなるでしょうね。

久保
ええ。よほど必要に迫られている人じゃない限り、わざわざ定価では買わない。もはや特売日の値段が「定価」のようなものになってしまうわけですよ。するとメーカーとしては、特売価格で売っても利益がでるように作らなくてはいけなくなるんです。
安田
ああ、なるほど。だから冷凍食品の原料の「質」を落とさざるを得なくなって、結果「安いけど美味しくない」という印象に繋がると。

久保
私はそう感じてます。もっとも、本当にマズければ売れない。そこで(冷凍じゃない)本物の美味しさをいかに「再現するか」という勝負になってくるわけですよ。
安田
なるほどなぁ。でもちょっと嫌な予感がしますね。前回のカップ麺のお話の時にもありましたが、手軽で低コストで「きれいな見た目」や「本物に負けず劣らずの美味しさ」を再現するには、大量の添加物が必要だって話だった気が…

久保
まさにそうなんです。実は私の健康の師匠は、以前は冷凍食品メーカーに勤務されていたんです。でも、あまりにも大量の添加物入りの冷凍食品ばかりの現実に直面し、「こんなものを世に出していいのか…」と退職され、それで健康の世界に入ったんだと言っていました。
安田
へぇ。今のお話を聞いて、私も思い出したことがあります。大手の食肉メーカーでソーセージを作っている方が、「ソーセージを作っているところを見たら、もう二度とソーセージは食べられないよ」って仰っていて。

久保
ああ、そうでしょうね。お安いソーセージには、とにかく大量かつ多様な添加物が入っているので…。
安田
多種多様な添加物を配合して作られているから、これはもはやソーセージじゃないよって言っていました(笑)。

久保
スーパーでよく見るパック詰めの生ハムなんかもそうですよね。何日経ってもきれいな色のまま陳列されているじゃないですか。
安田
ああ、確かにそうですね。本物の生ハムだったら、あっという間に色が変わっていくはずですもんね。

久保
ええ。普通に考えれば、いつまでも変色することなくきれいなままというのは、おかしい状態なんです。でもそれを不思議に思う人はほとんどいないじゃないですか。
安田
そうですね。むしろ色が変わった生ハムなんて、絶対売れない(笑)。

久保
そういうことです(笑)。もう1つ「不自然な食品」の例を挙げるとしたら、やはりコンビニ弁当です。朝早くから夕方頃までずっとお店に置かれていますけど、白いご飯は固くもないし茶色くなることもないですよね?
安田
言われてみればそうですね。家で炊いたご飯なんて、数時間もすれば白さも柔らかさも、炊きたての時とは比べ物にならないくらい変わりますよ。たとえ保温していたとしても。

久保
ええ、それが本来の自然な状態なんです。でも、もしコンビニ弁当のご飯が固く変色していたら、おそらくクレームの嵐でしょうね(笑)。
安田
う〜む。まぁ、「多少カラダに悪かろうが、安くて美味しいものを買いたい」と思っている消費者が多いってことなんでしょうね。だから結局、食品メーカー側もそういうニーズに照準を合わせるしかない。

久保
そうだと思います。そして結果的に「安かろう悪かろう」といった商品が生まれることになる。
安田
でもそれって逆に、私たちは自分で自分の首を絞めていることになりませんか? たとえ安くても添加物がたくさん入っている食べ物なんて、カラダに良いわけないじゃないですか。

久保
仰る通りです。私も健康に携わる人間としてそこが一番気になっていますし、多くの方に「皆さん、そろそろこの現実に気づくべき時じゃないですか?」という投げかけをしていかなければと思っています。
安田
逆に言えば、価格が高い食品は、カラダに良い材料を使い、手間暇かけて作っているからだとも言えるわけですね。

久保
ええ。だから私は「カラダに良い食べ物のために今ちょっと高いお金を出すことと、安い食べ物を食べ続けて病気になり高い医療費を払うこと、どちらにしますか?」というのが究極の問いだと思っています。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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