【新連載】第1回 コロナ禍で気づいた「アミューズメント」の重要性

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第1回 コロナ禍で気づいた「アミューズメント性」の重要性

安田
ということで、今回から株式会社万代(まんだい)代表の倉橋さんと対談させていただくことになりました。よろしくお願いします。

倉橋
こちらこそよろしくお願いします。人生初のメディア連載なのでワクワクしています(笑)。
安田
倉橋さんといえば“生粋の商売人”という印象ですが、今もどんどん店舗を増やしているんですよね。

倉橋
はい、北海道・東北エリアで13店舗やってますね。今後も新店OPENが続きます。
安田
すごいですねぇ。読者の皆さんのためにもあらためて、倉橋さんの経営する「万代」がどういうお店なのか説明してもらえますか?

倉橋
一言で言えば『遊べるリユースショップ』ですね。ここ数年は「遊べる」感覚、つまりアミューズメントの要素を積極的に取り入れています。
安田
なるほど。元は普通のリユースショップだったんですか?

倉橋
ええ。お客さんから商品を買い取って、それを店頭で売るっていうシンプルな商売でした。特徴があったとすれば、完全に「男性ターゲット」のお店だったことくらいですね。
安田
男性ターゲットと言うと、コミックとかゲームソフトとか、フィギュアとか、そういうものが中心だったわけですか。

倉橋
まさにまさに。あとはエアガンとか、アダルト系も扱っていました。「男性が欲しい物ならAからZまで」っていうのがコンセプトで(笑)。
安田
なるほどわかりやすい(笑)。でもそこから「遊べる」店舗に変えていったわけですよね。キッカケはなんだったんですか?

倉橋
一番大きかったのは、やっぱりインターネットの普及ですよね。多くの商品がネットで買えるようになってたことで、単純に店舗に来てくれる人が減ってしまった。
安田
そうでしょうね。Amazonや楽天といった通販サイトができたり、ヤフオクなどのいわゆるCtoCチャネルまで出てきた。客目線で考えれば、もはやわざわざ店舗に行く必要はないと。

倉橋
そうなんです。さらに言えば、うちの取り扱ってた商品がネットと相性抜群で。というのも、趣味性の高いフィギュアやアダルト系グッズは、店頭で買うのが恥ずかしい場合もあるでしょう?
安田
ああ、なるほど(笑)。店員さんと顔を合わせず買えるなら、そっちの方がいいですもんね。

倉橋
そうなんです。それでどんどんインターネットにお客さんが取られるようになってしまって、「このままじゃマズいぞ……」と。でもなかなか対策が打てずにいる中、あの<鬼滅の刃ブーム>がやって来るわけですよ。
安田
ああ、ありましたね。2020年くらいでしたっけ。

倉橋
そうそう。うちの店舗にも鬼滅の刃のフィギュアなどがありましたから、ブームの影響で多少お客さんが戻ってきた。それはよかったんですが、その頃って既にコロナ禍だったでしょう?
安田
確かに、まだまだ世間がピリピリしていた時期でしたね。

倉橋
そうなんです。全国的に対面の接触が嫌がられていて、なかなか打ち手が取れなかった。苦肉の策で考えだしたのが、「鬼滅の刃のフィギュアを景品にしたクレーンゲーム」です。
安田
なるほど! クレーンゲームなら非対面・非接客で売れますもんね。

倉橋
そうなんですよ。おかげさまでそれがメガヒットしまして。さらに、「ああ!惜しい!」「やった!取れた!」とクレーンゲームの前で一喜一憂するお客さんたちを見て、はたと気づくわけですよ。そうか、アミューズメント性が大事なんだ!って。
安田
ははぁ、それが「遊べるリユースショップ」というコンセプトに繋がっていくわけですね。

倉橋
そういうことです!その気づきをキッカケに、一気に舵を切りました。今後も発展を続けるだろうECサイトに勝つには、「店舗でしか味わえない魅力」を作ればいい。私たちの業態にとっては、それがアミューズメント性だったというわけです。
安田
確かに、ネットの買い物にアミューズメント性って別にないですもんね。それで具体的には店舗をどのように変えたんですか?

倉橋
そりゃもう売り場をガラッと変えましたね。先ほど言ったクレーンゲームのコーナーを作ったり、UFOキャッチャーとかメダルゲームとか、いわゆるゲーム機を充実させて。
安田
そもそものリユース業も継続されているわけですよね。お客さんか商品を売りに来て、それを買い取って販売するという。

倉橋
ええ、もちろん。ただ、アミューズメントをやり始めて気づいたんですが、リユースとアミューズメントって非常に相性がいいんです。例えば、お客さんから買い取ったフィギュアがあれば、それをUFOキャッチャーの景品にしてもいいし、ガチャガチャで販売してもいい。
安田
ああ、そうか。何にでも活用できるんですね。

倉橋
仰るとおりです。さらに言えば、今回のコロナ禍でゲーム機メーカーもすごく進化してまして。自動販売機なんかも、機械自体がキラキラ光るようになっていたり、電子パッケージになっていたり。
安田
なるほど。彼らは彼らで、アミューズメント性が高めていたと。そういえば最近は飲み物以外の自販機も多いですもんね。うちの近所にはもんじゃ焼きの自販機までありますよ。

倉橋
それはすごいですね(笑)。とにかくそういう個性的な自販機をどんどん投入して、お客さんから買い取ったエアガンとかトレーディングカードを景品にしたりして。
安田
ああ、面白いですね。店中でいろいろな施策が打てるわけだ。お客さん側からしても、ネットで買うよりも楽しいから、店舗に足を運ぶ理由になると。……なるほど、「遊べるリユースショップ」の強みがわかってきました。

倉橋
ええ。ちなみにこの方向転換に合わせ、ターゲットも変えています。先ほど言ったように以前は男性オンリーでしたが、今は完全にファミリーがターゲットです。
安田
ほう、男性からファミリーに。

倉橋
ええ。例えば郊外に住む4人家族を想像してほしいんですけど、彼らが週末に2万円くらい使うとしますよね。回転寿司に行って8000円くらい、それからスーパー銭湯で5000円。残りの7000円を万代で遊んでいただくイメージです。
安田
そこまで考えているんですか。すごいなあ。

倉橋
考えてますね。というか、実は今挙げた回転寿司とスーパー銭湯、この2業態をすごく研究したんですよ。回転寿司もスーパー銭湯も、いわば従来の業態に「アミューズメント性」を加えたものでしょう? そしてどちらもターゲットはファミリーです。
安田
確かに!

倉橋
そうなんです。そこで得た知見を自分のリユースショップにも取り入れた。その結果が今の万代の店舗ということですね。
安田
いやあ、すごいなあ。さすが“生粋の商売人”ですね。次週もこの話を深掘りさせてください。

対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に13店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

2件のコメントがあります

  1. 素敵な対談企画で今後楽しみにしてます。
    回転寿司行ってスーパー銭湯行って
    万代で遊ぶコースやってみます^_^
    夏休みでファミリー向け 体と頭を使う企画があったら楽しめるかなと思いました。

  2. コメントありがとうございます。
    エンターテメント=楽しむは日々の生活の上で衣食住と同列の要素となりました。
    もっとワクワクする【万代】を創っていきます!

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