第169回 「安いから買う」はもう通用しない

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第169回 「安いから買う」はもう通用しない

安田

最近アウトレットモールに行く機会が続いているんです。軽井沢、那須、千葉と回ったんですが、どこもなんだか寂れていて。もっと人がたくさんいて盛り上がっているイメージだったんですけど、以前お聞きした「セール品が売れなくなっている」という話ともつながるのかなと。


倉橋

近いものがあると思いますよ。「安売り」というもの自体に対する消費者の反応が変わったんでしょうね。

安田

なるほど。久し振りに行ってみて思ったんですが、欲しいデザインのものはサイズがなくて、サイズが合うものはデザインが好みじゃないんですよね。だから何かしら妥協しないと買えない。


倉橋

そうですね。そもそもすぐに売れるものじゃないからディスカウントしているわけで。昔は「安いから」という理由で買っていた人が多かったんでしょうけど、今は「妥協したくない」という気持ちの方がずっと強い。

安田

物価高の時代なら安いものが売れそうなのに、逆なんですね。


倉橋

興味深いですよね。型落ちしたものや在庫が残っているものを安くしても、もう「安い」というトリガーでは反応しなくなった。物価高だからというより、購買に対する考え方が根本的に変わったんだと思います。

安田

そうかもしれませんね。ちなみに倉橋さんはアウトレットに行かれますか?


倉橋

行きますよ。ただ、店舗の構成がどうなっているかを見に行くだけで、買い物としては行かないですね。

安田

ははぁ、買い物ではなく研究のために行っていると。さすが繁盛店研究家ですね(笑)。軽井沢のように、もはや自然よりアウトレットが売りみたいになっているところもあるじゃないですか。


倉橋

御殿場も有名ですよね。子どもの遊び場も充実していて、遊びに行く分にはいいと思います。

安田

そうなんですよ。でもよく見たらお店はそんなに混んでいないし、荷物をたくさん持っている人も見かけない。今の消費者が求めているものとは、ずれてきているんでしょうね。ちなみに、万代さんも以前はセールをやっていたんですよね。


倉橋

ええ。夏のセールとか、シーズンの変わり目にかけたりしていました。今はもうやらなくなって、例えばフィギュアにも鮮度があるので、国内で流行が過ぎたものは海外に持っていくようにしているんです。

安田

ああ、なるほど。値段を下げるんじゃなくて、売り場所を変えると。

倉橋

そうです。日本の消費者に安く売るより、そちらの方が断然いい。

安田

逆にユニクロは地方の小さい店をどんどん閉めて、都心部に大型の旗艦店だけを増やしていますよね。欲しいと思ってもらうための体験は旗艦店で提供して、実際に買ってもらうのはネットでいいと。結果的に店舗数は減っても売上は伸びているらしいんです。

倉橋

ユニクロさんのビジネス展開が正解かもしれないですね。デザインも優れているし、リーズナブルだし、何を着てもあんまり失敗しない。ファッションとして常に平均点以上を出しているなと感じます。

安田

最近高くなったとネットで文句を言っている人もいますけど、ユニクロより安くていい商品があるかと言われると、なかなかないですもんね。しかもユニクロは安いけど、安さを売りにしているわけでもない。

倉橋

もはやディスカウンターではないですからね。昔はそういう面もあったかもしれませんが、今はもうアウトレットやセールのように「安い」をトリガーにしている商売じゃない。

安田

なるほどなぁ。こういう変化っていつ頃から起きたんでしょう。

倉橋

コロナ禍からじゃないですかね。この5年ぐらいで劇的に変わったと思います。さらにこの先5年でもっと変わるでしょうね。

安田

以前のお話では、「セールは麻薬みたいなものだ」というようなことも仰っていましたよね。

倉橋

ええ。全品20パーセントオフにしたら、いいものだけがなくなるんですよ。ついでに買ってほしい売れ残りは全然売れない。

安田

なるほど。人ってすごいですね(笑)。安いという理由で欲しくないものは、やっぱり買わない。

倉橋

そうそう。でも自分が本当に気に入ったものは高くても買う。可処分所得が減って買い物の回数自体が減っているぶん、一回一回の買い物がすごく丁寧になっているんだと思います。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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