第5回 インベーダーゲームのある家

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第5回 インベーダーゲームのある家

安田
今回は“生粋の商売人”である倉橋さんが、商売に目覚めた頃のことを聞いていきたいと思います。元々お父さんが商売人だったんですよね。

倉橋

そうですね。インベーダーゲームのお店やファミコンショップ、あとは郊外型書店などを経営してました。

安田
いろんな実店舗を経営されてたんですね。ご出身は神戸でしたっけ。

倉橋

ええ。神戸生まれ神戸育ちです。

安田
なるほど、坊ちゃんですね(笑)。

倉橋
まあ、社長の息子でしたから(笑)。
安田
羨ましいですね。子どもの頃から豊かな暮らしをされてたんですか。

倉橋
幼少期は父が商売を始めたばかりだったので、そこまで裕福ではなかったんですけど。でも、エンターテイメント系の商品を扱っていたからか、大型テレビやインベーダーゲームは早くから家にありましたね。
安田
インベーダーゲームが家にあったんですか! それはクラスメイトのたまり場になりそう(笑)。

倉橋
実際になってました(笑)。そもそも住み込みの職員さんがいたり、内職のおばさんたちが袋詰めの仕事をしてたりと、友だちに限らず人の出入りが多い家でしたね。
安田
ははぁ、賑やかなお家だったんですね。店舗の敷地内にご自宅があったんですか?

倉橋
いや、店舗と自宅は別の場所だったんですけど。社長である父は、いろんな人を自宅に招いてご飯を食べさせたりするのが好きな人で。
安田
なるほど。お父さんのそういう姿を見て、「自分も大人になったら会社をやりたい」って思い始めたわけですか?

倉橋
そうかもしれません。「大人の世界は楽しそうだな」っていうのはすごく感じてましたね。文化祭の延長線のような感じで。
安田
確かに話に聞くだけでも毎日楽しそうです。お父さんから「お前はいずれ後を継ぐんだぞ」なんてことも言われていたんですか?

倉橋
いや、そういうのは全くなかったんです。僕自身も父の跡を継いで社長になるなんて思っていなくて。
安田
へえ。じゃあ、自分で商売をやろうと思ったのは何歳のときなんですか?

倉橋
う〜ん、父の跡を継ぐとは思っていなかったけど、「いつかは自分で商売をやるぞ」という気持ちは小さな頃からあったんですよね。実際、大学生の頃にはもう商売を始めてましたから。
安田
ははぁ、そうなんですか。ちなみに大学生の頃は何の仕事をしていたんですか?

倉橋
人材派遣のような仕事ですね。割とうまくいって、月100万円ぐらい稼いでいたと思います。
安田
すごいですね! 大学生で月100万円稼いでたら、かなり羽振りもよかったんじゃないですか。

倉橋

それが、実はもう1つ別の商売もしていて、そっちが全然ダメだったんですよね。人材と違って商品の仕入れがある商売で、先行投資も大きかったのに、全然売れず(笑)。そっちで大きな借金を抱えてしまったので、人材派遣の利益は全部そっちに取られてしまって。

安田
なるほど、大学生で商売の酸いも甘いも味わったわけですね(笑)。でも大学生で二つも商売をするなんて、やっぱりその頃から「商売大好き」だったんですねぇ。

倉橋
そうかもしれません(笑)。その後借金を返すために一旦就職をして。
安田
なるほど。起業する前に一度就職してるんですね。

倉橋

そうですね。就職したのは旅行代理店で、ツアーの営業から添乗員までいろいろやりました。

安田
ということは、就職して借金を完済して、「よし、じゃあまた自分で商売やるか」というような感じで起業したんですか?

倉橋
いや、就職して3年くらい働いた頃に父の会社が駄目になってしまって、民事再生を申請することになりまして。
安田
えっ? そうなんですか。

倉橋

ええ。それもあって父の仕事を引き継ぐことはできなかったんですけど。でも、「じゃあ同じ店舗ビジネスで新しく商売でもしてみるか!」と思いまして。それが25歳ぐらいの頃ですね。

安田
へぇぇ。でも、お父さんはその店舗ビジネスで失敗されているわけですよね。当然お父さんには反対される気がするんですけど。
倉橋
いや全然(笑)。反対どころか、むしろ「ぜひやりなさい」という感じでしたね。
安田
へえ、なんというか、さすが商売人ですね(笑)。まあ、息子が自分と似たような事業を始めると聞いて、お父さんも嬉しかったのかもしれませんね。

倉橋
ああ、そうかもしれません。ただ、自分の会社のゴタゴタもあって、出資してくれるほどの余裕はなかったみたいですけど(笑)。
安田

笑。では来週は、いよいよ本格的に商売を始めた頃のお話を聞いてみたいと思います。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

Twitter  Facebook

株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に13店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから