第95回 関心事の届け方

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/ 関心事の届け方

とある大手さんにて、人事部門主催の社内研修に参加させていただきました。

対象は若手層。主なテーマは「顧客・上司との関わり方」について。

事前に人事からは「最近、必要以上に“低姿勢・自虐的な若手”が増えてきた」とのコメントを共有されていましたが、当日は、実際に上司に届いた「部下からのお詫びメール」を題材に、人事マネジャーが語っていました。

「この度は私のミスでチームに迷惑をかけてしまい、私の力不足で申し訳ございません。私には、知識も経験もまだまだ足りないですし、やはりこのプロジェクトは、私なんかには到底無理だったのです。。」

以下は、マネジャーの講義

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「自分は悪くない!」って自己保身に走るよりは、まだましかもしれないけど、これって「二元論」だよね?

ある観点から見れば「自分は悪くない/自分が悪い」と保身に走る人も、自らを責める人も、考えていることは「自分が良いか、悪いか?」だけ。

この人にとっては、それが大問題かもしれないけど、聴く側にとっては、それが問題じゃないよね。わかるかな?

聴く側の関心事は、「これからこのプロジェクトをどうするのか?」「挽回するには何が必要か?」なのに、自分のことだけ話しているから、まったくもってお詫びの気持ちすら、相手には伝わらない。残念な例だよ。

相手にしっかりと伝えるには、自分と相手、「両者にとっての関心事」を整理・把握し、筋道を立てて伝える。

そうすれば、説得力が生まれ、相手はすっきりする。

これが問題解決の基本だよ。わかるかな?
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テーマは「顧客・上司との関わり方」についてでしたが、「問題解決の基本」をドヤ顔で熱弁された若手層の感想が気になるところです。。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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