ネットの履歴書
第30回『怪しいと危ないの境目』

ソルナ株式会社が開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第30回『怪しいと危ないの境目』

 

三澤

前回リクルートの話をしたじゃないですか。内定辞退率調査の。

安田

はい。リクルートはもっと「社会的な風評」を意識するべきだっていう話。

三澤

もちろん風評も大事なんですけど。「職業安定法的にはどうなの?」っていう議論もありまして。

安田

職業安定法ですか。

三澤

たとえば今はもうなくなってますけど「鳥取ループ」というサイトがありまして。

安田

鳥取ループ?

三澤

「全国の中で同和地区はここですよ」っていうのをネットで公開していたサイト。これは裁判になって違法と認定されたので閉鎖されました。

安田

いわゆる部落問題ですよね。

三澤

部落問題ですね。で、閉鎖されたんですけど、コピーサイトとか残存情報がいっぱいあるんです。

安田

そこまでは消せないと。

三澤

消せないのでいっぱいあるんです。が、我々が調査するときには、そういうサイトは調査対象に含めません。

安田

それはソルナさんの調査サービスとして?

三澤

そうです。「ここまでは公正だよ」という指針を省庁が出してくれない。だから弁護士と話をして自分たちで指針を決めています。

安田

明確な基準がないから、それぞれの会社がつくらないといけないってことですね。

三澤

そういうことです。

安田

ソルナさんの場合は「何をもって公正か」を自分たちで決めてるってことですか?

三澤

はい。複数の弁護士さんと相談して「ここは調べる対象から外しましょう」と。出てきたら見えちゃうんですけど報告の対象からは除外してます。

安田

お客さんに出すときに除外してるってことですか?

三澤

そうです。

安田

じゃあソルナさんは「この人はどういう人か」って知ってるけど、お客さんに伝えないようにしてると。

三澤

はい。情報によっては。

安田

それがソルナさんにとっての「公正」だと。

三澤

はい。同和地区にいたかどうかとか、そこの出身だというのは、それこそ職業安定法的によろしくないので。

安田

それはそうですよね。

三澤

そういう観点から考えると、リクルートの辞退率予想は問題があるということです。

安田

たとえば「A君はどうやら、いま受けてる会社を辞退しそうだ」という情報を、リクルート社が把握してる分にはOKだと。

三澤

そうですね。

安田

だけど、それを企業に伝えちゃって、就職に不利になる状況をつくり出すのはダメだと。

三澤

職業安定法的にどうかってことですね。

安田

なるほど。「公正の基準」を自社で明確にしておいた方がいいってことですね。

三澤

そういうことです。ネットの履歴書でも「要配慮個人情報」の扱いを慎重にしています。

安田

たとえば、どんな情報ですか?

三澤

病歴に関してとか。このへんは結構デリケートなので、企業さん側には言えないです。

安田

そうなんですか。

三澤

はい。意外とデリケートラインで報告できないことって多いんですよ。実は。

安田

でも病気って解釈っていうよりは事実じゃないですか。それって本人が報告する義務とかはないんですかね。

三澤

社労士さんがお勧めしてるのはチェックシートをつくること。

安田

チェックシート?

三澤

はい。採用するときに「カードの事故情報はないですか?」「破産した経験はないですか?」っていうのを自己申告させて入社させる。

安田

それが虚偽だった場合は解雇できる?

三澤

内容によりますが、解雇までするのは難しいこともありますね。

安田

ですよね。

三澤

はい。難しいですが「うそだったよね」ということで、たとえば部署を変えるとか、内容によっては降格するとか、何かしら対応をすることはできる。

安田

なるほど。最低限の予防策は打っておこうと。

三澤

そういうことです。でも、たとえばエイズだとかC型肝炎だとか、差別につながるようなものはチェックできません。

安田

たとえば、すごい虚弱体質で普通の働き方ができない人とかいるじゃないですか。

三澤

はい。

安田

入社したけど、ほとんど休みがちみたいな。

三澤

あり得ますね。

安田

プロ野球だったらメディカルチェックとかあるじゃないですか。肩とか肘が壊れてないかどうかって。こっちは買う側なのでチェックするのは当然って気もするんですけど。

三澤

採用前の健康診断って、決まったものしかやらせてもらえないんです。血液検査はだめとか。

安田

へぇ。ちなみに前科はどうなんですか?チェックしてもいいんですか?

三澤

してもいいんですけど、たとえばうちの場合は報道されたものしか報告しないです。

安田

報道されたもの?それはどういう意味ですか。

三澤

ニュースサイトとかで実名報道されているかどうか。

安田

報道はされてないけどSNSに出てる場合もありますよね。ネット上ほぼ実名を特定されてるケース。そういう場合も出さないんですか?

三澤

「うわさ話がありました」という参考情報ぐらいでしか出せないですね。

安田

参考情報としては出すんですか?

三澤

出す場合もあります。それをどう取り扱うかは企業側の判断ですね。

安田

SNS は微妙ですよね。真実と嘘が入り混じっているというか。

三澤

アメリカでは「ビザを申請するときにSNSをチェックします」と公表しました。

安田

え!じゃあSNSの書き込みによってビザが下りなくなる可能性がある?

三澤

今年の5月から導入されたんですけど、権利侵害じゃないかと言われています。

安田

そりゃあそうですよね。

三澤

でもこれはもう決まっちゃったことですから。アメリカ政府は過去5年までさかのぼって見ますよと。

安田

凄いですね。

三澤

テロの排除が目的なので、もう仕方ないんじゃないですかね。

安田

それは拒否できないんですか?

三澤

はい。義務ですから拒否できません。

安田

中国みたいに黙って調べればいいのに。

三澤

それを表だって言えちゃうところが、いまのトランプ政権なんじゃないですかね。

安田

テロで大義名分ができちゃったと。

三澤

銃乱射が直接の引き金になったみたいですね。

安田

あんなの防ぎようがないですもんね。

三澤

はい。だからSNSをすべてチェックしていくわけです。

安田

危なそうな人を先に把握しておくと。

三澤

犯罪を未然に防ぐってことですね。

安田

まだ何もやっていないのに?怪しいというだけでアウトだと。

三澤

はい。映画の世界に近づいてきました。

・・・次回へ続く・・・

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