「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第166回 未来の労働は「人間らしさ」がカギ

中辻さん、「ヒューマノイド」ってご存知ですか?

そうそう。人間と同じような姿形をしているロボットのことなんですけど、それが最近、急速に進化してまして。近い未来には、人間の代わりに現場の仕事をしてくれる人型ロボットが出てくるだろうと言われているんですよ。

人間社会って、当然のことながら「人間に合わせて」作られています。例えば道路工事の誘導とか飲食店での作業とか。人間が自分の肉体を使って仕事をするような場所では、人間と同じカタチのロボットの方が、効率よく動けるという発想なんですよ。

そういうことです。しかも今後もっと技術が発展すれば、それこそ300万円くらいでヒューマノイドを買える日も来ると言われている。そうなると、人間を1人雇うよりも安くすんじゃうんですよ。しかも給料も払わず、24時間無休でも文句言わずに働いてくれる。ひょっとすると中辻さんの会社でも、ヒューマノイドがポスティングスタッフとして働くような時代もくるかもしれませんよ?

そうですね。でもAIって、こちら側の意図をしっかり汲み取れないことが多くないですか? 私も日常的にChatGPTを使ってますけど、しょっちゅう「いや、そういうことを聞きたいわけじゃなくて…」みたいな回答をしてくる。しかもそれを指摘すると「そうでしたよね、すみません。これはこういう意味ですね」って、結局同じことを返してくるんですよ(笑)。

でしょ?(笑) それでいうと最近私の部下の子たちが、お客様にチャットやメールを送る前に、まず一度AIを介して整えていて。そうすると内容もすごく研ぎ澄まされている「綺麗な文面」になるんですけど、私はどちらかというとそれには反対で…。

なんかね、人間味がなくなるような気がしちゃうんです。自分の細かい思いとかちょっとしたニュアンスの違いとかが、AIを通すと全部なくなっちゃうなぁと。ある程度人間味を残した文章を打たないとお客様とはなかなか分かり合えないと思うんですよ。

そうそう(笑)。ヒューマノイドも一緒なんだと思うんですよ。全てにおいて研ぎ澄まされた言葉やコミュニケーションになると、「人間らしさ」がなくなってしまう。だから私は仲良くなれないと思います(笑)。

なるほどなるほど(笑)。私も大部分では中辻さんと同じ意見なんですが、例えば「誰がやっても同じ結果」にしかならない現場であれば、ヒューマノイドがやればいいとも思っていて。例えばファストフード店のように、決められた味や分量の商品を提供するだけで、お客さんと密なコミュニケーションを取る必要もない場所とかね。

ですよね。しかもヒューマノイドだったら、きっとお客さんの顔もちゃんと識別できて、来店頻度とか注文履歴から「今日もいつものメニューでよろしいですか?」みたいに言ってくれますよ。下手な人間に対応されるより、ずっと平和で気持ちがいいかもしれない(笑)。

人間がやるべき仕事とヒューマノイド(機械)に任せた方がいい仕事と、二極化していきそうですね。じゃあ中辻さんとしては、例えヒューマノイドが安く売られていても、ポスティングスタッフをヒューマノイドに変えることはない、と?

笑。ちなみにデザイン制作でAIを使うことってあるんですか?
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

















