第129回 「まともな人」ほど会社に行けなくなる理由

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第129回 「まともな人」ほど会社に行けなくなる理由

安田

藤原さんのメルマガで、「学校に行けなくなる子どもと職場に行けなくなる大人の根っこは同じだ」という話が興味深くて。


藤原

ああ、ありがとうございます。

安田

「子どもの教育には経済とは真逆の発想が必要だ」ということでしたよね。でも実際の学校では、いかに効率よく勉強するかが求められている。


藤原

ええ。日本の学校教育は、頭のいい人たちが考えた素晴らしい仕組みだと思いますし、おかげで識字率も教育レベルも上がってきた。ただ、それが絶対的な正解だと誰も疑わなくなってきたことに問題があると思うんです。

安田

受験を考えると特にそうですよね。テストでいい点を取ることが目的になると、無駄なことをやっちゃいけないという発想になる。


藤原

そうそう。しかも教師になれるのは、その教育システムの中で成功した人だけですからね。世の中で幸せに生きるために必要なことは学校の外にもたくさんあるのに、そこにはまらない子は「ダメ」と烙印を押されてしまう。

安田

確かになぁ。じゃあどうしたらいいか、と言われると難しいんですけど。


藤原

そうですね。ただ少なくとも先生たちには、「学校で教えていることは正解の一つにすぎない」ということをあわせて伝えてほしいなと思うんです。ここでつまずいたからといって人生に失敗するわけじゃないんだよと。

安田

それはそうですね。正解がすごく狭められているから、そこに馴染めない子や疑問を抱く子が不登校になってしまう。そして、それが会社に行けなくなる大人にも当てはまると。売上や利益至上主義が学校の成績至上主義と同じ構造だということなんでしょうね。


藤原

仰るとおりです。経営者が一つの答えを「これが正解だ」と提示し、それに当てはまらない人間を排除する構造がある。「君は間違っている」と押しつけられてしまうと、「そうか、自分はダメなんだ」と塞ぎ込む人も出てきてしまう。

安田

不登校の生徒と同じマインドになってしまうわけですね。やることが決まっているという点では、学校も会社も同じですから。子どもは給料こそもらっていませんけど、義務教育として時間割が決まっている。


藤原

ええ。それで読み書きそろばんができるようになるわけですから、行かせないわけにもいかない。理想を言えば、基礎の部分は大事にしつつ、一人一人に合った出口みたいなものが教育にも会社にも必要なんだと思います。

安田

ほう、なるほど。会社にも出口が必要というのは、どういうことですか。


藤原

決められたことをやるという側面は当然あるんですけど、仕事の意味や意義を日々の対話の中で伝えていくことが大事で。「なぜこれをやるのか」を一緒に考えることで、ストレスが溜まりきる前に表明できるようになる。

安田

確かに。でも一方で、なぜこれを勉強するのかとか、なぜこの仕事をするのかに疑問を持たない人の方が圧倒的に多いですよね。そして一般的には、それが「まとも」ということになっている。


藤原

ええ、まさに。でも本来であれば、疑問を持たずにいる方が不自然だと思うんです。

安田

つまり、まともな子ほど不登校になって、まともな人ほど会社に行けなくなる。「疑問を持てること自体が健全」ということですよね。


藤原

そう思います。ただそうやって疑問を持った時に「余計なことを考えるな」なんて先生や上司から言われると、「ああ、やっぱり疑問を持ってはいけないんだ」となってしまう。それはよくないなと。

安田

理屈はわかります。とはいえ、自分が上司や経営者だったら、毎朝「今日も電車の中で『この仕事って必要?』とかって考えちゃいましたよ」みたいな社員がいたら、ふざけるなよと思いそうな気もして(笑)。

藤原

短期的にはそうですよね(笑)。いちいち「なぜこれをやるんですか?」と聞いてこられたら生産性は落ちる。でも長期的に見れば、違和感を持って立ち止まれる人がいた方が組織にとってもプラスになるはずで。

安田

「人生の豊かさ」という基準で考えたら仰るとおりだと思うんですけど、会社の利益で考えたらどうなんでしょう?

藤原

私自身は、一人の実業家としてそこから逃げずに向き合っていきたいなと。そういう人をスタッフとしても迎えたいと思っていますし、長期的にはそういう組織の方が強くなると信じています。

安田

なるほどなぁ。多様化とか言われている割には、結局人って「画一的なもの」を求めてしまいがちですから。そこを本気で変えていけるかどうかが、これからの経営者に必要なのかもしれませんね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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