vol.110『白龍|龍は昔から【独りであるとともに世界とつながっている】ことを伝えている』

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『白龍|龍は昔から【独りであるとともに世界とつながっている】ことを伝えている』

 

人は、龍が大好きだ、しかも、時代や地域を超えて、龍が大好きなのだ‥‥と、2011年から龍を描くようになって気がつきました。

「龍を描いてほしい」とオーダー絵画を頼まれたのがきっかけで、紐解いていくと、龍に当てはまる文字が、中国の甲骨文字で伝えられているので、前1300年ごろまでに、龍というイメージが生まれていたと思われます。

龍は、もともと、雲や水、雷など、自然の森羅万象から人が感じるエネルギーをかたちづくったものです。龍と近しい蛇は、前6000年前からありました。

土器として伝えられているもので、龍と近しい蛇では、とぐろを巻く蛇の土偶、浮き彫り彫刻の蛇、彩色の蛇など 前6000年から世界で確認されています。日本でも、前3000年ごろの縄文時代に蛇の造形がある土器などが見つかっています。世界中で作られた蛇は、豊饒や、雨乞いなど、人が祈るためのシンボルだったのではと考えられています。

不思議なことに、日本では、弥生式土器で、蛇の造形があるものは見つかっていないそうです。そして、弥生時代後期に、龍と見られる図像が描かれた土器が 見つかりました。

中国では、戦国時代末期から漢にかけて、龍が皇帝のシンボルとなっていて、蛇は半豊穣の動物と見られるようになっていたと言われています。弥生時代に、その考え方が日本に入って 蛇がいったん消えたのでは、という説があります。

もともと、蛇も龍も、雨の恵みをもたらすと大切にされていました。時代的、地域的、政治的背景等で、善悪に別れることもありましたが、長い歴史から眺めると、蛇と龍は仲間と考えることができます。

こうした蛇や龍の成り立ちをさかのぼると、彼らを感じるのは、自然のエネルギーに気がつくことだとわかります。そこに、時代をへるごとに、いろんなストーリーが加わって、今の多様な龍のイメージが出来上がりました。

都市が発達して、ビルの谷間から空を眺めるような人口が増えました。田舎に暮らしていても、コンピュータや携帯電話が手放せない人も多い時代になりました。しかし、人はいきものであり、自然の一部です。気候変動が大きく、世界中で様々な災害が起こるようになった今、私たちは独りで生きているのではなく、この世界の中で生かされていることを、改めて感じる事が大切だと思います。

昔々の人たちが、雲や水、雷など、自然の森羅万象から人が感じるエネルギーをかたちづくった龍が、今でも世界中で愛され続けているのは、自然とのつながりを大切にしたい思いが源にあると感じるのです。
だから、「10年以上、様々な想いをのせた龍を描き続けてくる中で、ただ一つの共通点は何か?時代をこえる意味は何か?」と問われれば、【つながり】だと私は答えます。

そして、自分自身が自然とつながっていることから、自分と周囲の人や生き物とのつながりも感じて大切に生きようとする姿勢は、生きる土台だと思います。

栃木の旅館から依頼された白龍の絵は、デザイン画として依頼されました。壁画となって、木漏れ日が落ちる斜面に飾られます。自然のエネルギーから生まれた龍が、大自然の中で飾られることで、【つながり】をよりいきいきと感じられることも考えて描きました。

約3メートル✖️9メートルの壁画になるので、人が、龍の大きさを楽しめるようにしよう。龍の顔からツノまで、2メートル近くの大きさになるようにしました。龍が、地面から勢いよく昇って顔を出すイメージです。巨大な龍の顔を見ると、龍は、こちらを向いているので、目と目が合います。

周りの木々と調和するように、青系の色で描きました。これからの紅葉の季節には、黄色や赤とのコントラストが美しい。冬は、葉の落ちた木々の中で青が浮かび上がるの。もしも、雪が降った時には、白い雪と青の対比が楽しめる。そして、春は生き生きとした若葉と青が響き合う‥‥、四季折々の変化によって、龍の佇まいも変化する壁画です。

この龍には、「生きるとはなんだろう」「日本人のルーツとはなんだろう」など、たくさんの想いが込められているので、少しずつ、紹介していきます。

機会をみて、完成した壁画も紹介します。

今回完成した作品 ≫『白龍』

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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