第91回 ウイスキーの熟成から学べるもの

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

2014年、NHKにて「マッサン」という連続テレビドラマが放送され人気となりました。
その題材として使われた商品がウイスキーであり、ドラマの人気と比例するように日本のウイスキーが一気に売れるようになりました。

ただ、ウイスキーが売れるようになった結果、困ったことが起きました。
それが、ウイスキーの在庫切れ問題。

「商品がなくなったのであれば作れば良いじゃん」と考える方もいらっしゃると思います。
確かに新型コロナを機にマスクの生産が急増したことを思い出せば、そう考えるのも当然かも知れません。

ただ、ウイスキーはそういう訳にはいきません。
なぜなら、ウイスキーは樽の中で何年もの間、熟成させる必要があるからです。
つまり、すぐに作れと言われても作れないのです。

すぐに作れと言われても作れない、長期熟成という「期間が生み出す価値」。
これは商売における「信用」にも同じことが言えるのではないでしょうか?

何年もの期間をかけてコツコツと情報を発信し続けてきた人と、1週間前から突然大量の情報を発信し始めた人がいたとしたら、どちらの人が信用できるのか?

その答えは人によって異なるかも知れません。
ただ少なくとも私に限って考えるのであれば、私なら前者を信用するでしょう。

その理由というのが期間の価値であり、期間が生み出す価値には近道がないからこそ、信用に値するのだと私は思うのです。

信用とはウイスキー同様、期間が欠かせない以上、必要になってから作ろうと思ったのでは遅すぎるということ。だから必要を感じない時から、コツコツと期間をかけて信用を積み重ねておく必要がある訳です。

ウイスキーを飲みたい時に飲めるのは、熟成期間があるから。
信用が欲しい時に信用してもらえるのは、蓄積期間があるから。

1年間どんなに時間を費やしても、10年間という期間を経たウイスキーの味は作れないのと同じく、期間を積み重ねたことで生まれる信用こそが、他者には真似できない自分の味を作り出してくれるのではないかと、私には思えるのです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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