第151回 商売が上手くいかなかったら後悔するのか?

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

今月の上旬、あるオーナーさんの所へ挨拶に行ってきました。
こちらのオーナーさん、2018年の9月に初めて自分のお店を開業し、私も開業以来お店の経営に関するお手伝いをしてきたため、私にとっては約4年ほど一緒に仕事をしてきたお客さんとなります。

そんなオーナーさんですが、無事お店が軌道に乗り、今後は1人で経営をしていけるという判断をされたため私の仕事も契約終了となり、最後の挨拶に行ってきたという訳です。

そこで、開業から4年間の色々な話をしてきたのですが、オーナーさんの話を聞いている中で、とても印象に残った言葉がありました。

それが「商売をやってみて後悔したことは全く無かった」という言葉なのです。


「後悔したことは全く無い」
こんな言葉を聞くと、「このオーナーは開業以来、さぞ順調な経営だったのだろう」と感じる方もいらっしゃるかも知れません。

でも、私が4年ほど一緒に仕事をしてきた印象で言わせてもらうなら、実際はむしろ逆で、開業してからの4年間は困難ばかりだったように感じるのです。

開業当初は見込んでいた売上には全く届かず、会社員時代の収入を大きく下回る日々。ようやく売上が伸び始めたと思った矢先、共同でお店を始めた仲間が意見の相違により離脱し、1人での店舗運営を余儀なくされる。さらに、1人での経営にコツが掴めてきた頃にやってきた新型コロナによる営業自粛。

つまり、4年間を通して経営が順調だった時などほとんどなかったと言えるのです。

じゃあ、何故ここまで困難の連続だった4年間にも関わらず、後悔がなかったのか?
私が思う、その答えはオーナーさんのこんな事実の捉え方にあるように感じるのです。

「売上が伸びず収入が少ない時に、奥さんのサポートに有り難みを感じる事ができた」
「仲間は抜けてしまったが、逆に1人でお店を回すオペレーションを作ることができた」
「自粛によって融資を受けたことが、これからの商売の覚悟を決めるきっかけになった」

私たちは自分で商売を始めてみようかと考えた時、こう考えてしまいがちです。
「上手くいかなかったら後悔するんじゃないか」と。

確かに私自身も、前職を辞める時にこうした不安を感じた事をよく覚えています。

ただ、上手くいかないことの連続だったにも関わらず、オーナーさんが商売を軌道に乗せることができた要因を考えると、それは「上手くいかないから後悔する」のではなく、「上手くいかない事実を次に繋がる経験に変える」という姿勢なのではないかと思うのです。

そう考えるのであれば、後悔とは目の前の事実に対して全員が共通して感じるものではなく、たとえ同じ結果であっても「後悔で終わらせてしまう人」と「後悔せず次に繋がる経験と捉える人」がいるという事。

だからこそ、このオーナーさんは「商売をやってみて後悔したことは全く無かった」と言ったのであり、後悔がないと言い切れる姿勢こそが、困難続きだった4年間を乗り越えるという結果を作り出した原因のように私には思えるのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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