第193回 雇わないパートナー募集中

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第193回「雇わないパートナー募集中」


安田

雇わない株式会社で、社労士パートナーさんの募集が始まりました。

久野

はい。すでに5人がパートナーになっていただいてます。

安田

東京、名古屋、大阪、和歌山、熊本。5地域のパートナーさんですね。

久野

そうです。各都道府県に1人ずつ、東京と大阪と名古屋だけ2人の予定です。

安田

合計50名。

久野

ちょうど50名の予定です。「雇わない経営」を全国に広げたいと思っています。

安田

よく間違われますけど、雇わない経営は「1人も雇わない」ことではないんですよね。

久野

選択肢を増やすということです。雇用以外のつながり方というか。雇用だけで組織を作ることには限界がありますので。

安田

久野さんご自身も経営者としてそこは実感していますか。

久野

はい。採用で追いつかない部分を積極的に業務委託にお願いしてます。

安田

採用できないから業務委託に振っていると。

久野

逆のパターンもあります。業務委託にしたいんだけども、業務委託では追いつかない部分を採用してる。

安田

なるほど。雇用だけで組織を作るって限界がありますよね。

久野

変化の激しい不安定な時代になってきてますから。組織にも柔軟性が必要です。

安田

雇用と業務委託のハイブリッドみたいな組織でしょうか。

久野

そういう組織がこれからどんどん増えていくと思います。

安田

「ハイブリッド型組織を増やす」というのが、雇わない株式会社の使命。

久野

働く人にとっての「選択肢を増やす」ということが一番の目的ですね。

安田

それを実現するためのパートナーですが、パートナーさんを社労士に限定してますよね。

久野

そこにはこだわりました。

安田

その理由を聞きたいんですけど。

久野

やっぱり社労士は雇用についてのプロなので。雇用の良さや問題点もよく分かってるし、分かってる人が教えた方がいい。

安田

分かっていない人がやるといろんな問題が起こり得ると。

久野

雇用契約しないといけないところまで、業務委託にしちゃったり。労働法上の罰則も重いです。

安田

どんな罰則ですか。

久野

未払い残業代を請求されたり、いろんな労働問題への引き金にもなります。どんどん業務委託に変えていくコンサルタントもいるんですけど。

安田

社労士がやった方がいいと。

久野

やるべきだと思ってます。「社労士の新しい仕事になるといいな」という思いもあります。

安田

業務委託=自立した人たち、つまりプロフェッショナルというイメージで私は捉えてるんですが。

久野

それが本来の姿だと思います。ただ経営者の中には「社会保険に加入しないために」「残業代や消費税を抑えるために」業務委託で使おうとする人がいます。

安田

我々の考えている姿とは違いますね。

久野

そうなんです。その違いを明確にするためにも、ちゃんとプロが入った方がいい。

安田

われわれの考えは真逆で、外部のフリーランス、業務委託にたくさん稼いでもらうイメージです。

久野

それが正常だと思います。

安田

つまり安定を求める正社員と、自分でスキルアップしながら稼いでいくフリーランス、みたいな感じですよね。

久野

そうです。そこをちゃんと教えてあげるのが社労士の仕事だって感じです。

安田

会社がお金を削減するためにやるわけじゃないと。

久野

その発想はもう無理があります。

安田

新しい価値観を、社労士さんと一緒に広めていきたいですね。

久野

ただ残念なことに、「新しいことにどんどん取り組んでいこう」という社労士は少ない気がします。

安田

そうなんですか。

久野

頼られるのが好きな人が多いので。こちらから何かを提案するより、相手から頼られたい人が多い。

安田

勉強熱心な方が多いイメージですけど。

久野

それは間違いないです。クライアントに相談されて「できますよ」って答える立場が好きみたいで。

安田

クライアントから頼られて、それに応えるために「しっかり勉強してる」人たち。

久野

そうですね。

安田

つまり「クライアントから頼られる状態」を我々がつくればいいわけですね。依頼や問合せが増えて、そこに対応してくれるパートナーさんを増やしていく。

久野

そうですね。でも現場での啓蒙活動も手伝って欲しいです。

安田

「こういう人にパートナーになってほしい」というイメージを教えてください。

久野

あんまり常識に捉われてないっていうか、「全て雇用」ってところに違和感を感じてる人がいいですね。

安田

そこに賛同してくれる人がいいですよね。

久野

中小企業って現場が強いので、現場は正社員で回すべきだと思うんです。けどマーケティングとか、営業とか、組織づくりとかって苦手な中小企業が多い。

安田

そういう部分を業務委託にするイメージですか。

久野

そういう悩みを解決できるといいなと。雇用だけじゃなくこういうやり方もありますよって。

安田

なるほど。

久野

マーケティングのスペシャリストを雇用するって、めちゃくちゃ難しいんです。そんな人が中小の製造業に就職するなんて、ほぼない。

安田

そういう仕事はフリーの人に依頼すると。

久野

フリーランスの人にお願いしたり、優秀な社員が辞めていくときに雇わない経営で繋ぎ止めたり。ここを柔軟に考えられる人にパートナーになって欲しいです。

安田

辞めてもそこで終わりにしないと。

久野

そこに選択肢があれば関係性は続くと思うんですよ。

安田

社労士パートナーさんと雇わない株式会社の関係も同じですね。

久野

そうですね。雇わない株式会社自体が、雇わない経営をやっていく感じです。だからこそ考え方に賛同してくれる人に来て欲しい。

安田

私は社労士さんの収入を増やしたいという思いもありまして。貪欲に「もっと稼ぎたい」という人にも来てほしいです。

久野

そこも実現したいですね。

安田

社労士平均の2倍ぐらい稼いで欲しいです。

久野

平均がどれぐらいか把握してないですけど、私も増やしたい思いはあります。

安田

イメージ的にはどれぐらいに増やしたいですか。

久野

最低でも1000万ぐらいは稼いで欲しいですね。

安田

私もそんなイメージです。一緒にやりたいという社労士さんはぜひご連絡ください。

久野

よろしくお願いします。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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