第138回「働き方改革へのヒント?!酪農ヘルパーという小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「働き方改革へのヒント?!酪農ヘルパーという小さなブルーオーシャン」


「実は全国に約270の利用組合、約2000名が登録しているという職業」

 

生き物、特に飼育を生業としている人は、
ほとんどの時間を仕事に費やしている
と言っても過言ではありません。
生き物ですから、
いつ、どんなことが起こるか、
予測もつかないわけですから、
24時間365日働いている
ようなものです。

特に牛を飼う酪農は、
エサやりはもちろん、
牛が乳房炎などの病気に
かからないように
毎日の搾乳や牛舎の清掃が
欠かせないと言います。

従業員でカバーできる
大きな牧場もあるそうですが、
酪農家の多くは家族型経営。
実は、従来から酪農は、
最も休みがとりづらい仕事
として問題視されていました。

こういった事態を少しでも
解消して酪農家が
定期的に休日をとって
ゆとりがある経営を
展開してもらうために、
「酪農ヘルパー」という
職業が誕生したのです。


Erich WestendarpによるPixabayからの画像

酪農ヘルパーの多くは、
毎日異なる牧場へ出役(出勤)し、
5時から9時と
16時から20時に働いて、
9時から16時までは
お休みだそうです。

日中のオフタイムを
自由に使えるという
メリットがあります。
趣味や勉強に
時間を割いてもいいですし、
別の仕事をしてもいいですよね。

2020年8月の調査で、
全国に約270の利用組合があり、
約1000名の専任酪農ヘルパーが
いるそうです。
このほか専任ヘルパーが
対応できないときに備えて、
臨時酪農ヘルパーとして
酪農家の後継者や
酪農ヘルパーOB・OG
などを中心に約750名の
登録があるんだそうです。

酪農家1戸あたりの
酪農ヘルパー年間利用日数は
平均23.6日。
最も休みがとりづらい仕事
として問題視されていた
酪農家の仕事も徐々に
改善されつつあるようです。

終身雇用制度が終焉を迎え、
流動的雇用制度に移行して、
企業は人材確保、定着が
難しい時代です。
一方、働く側も、
給料も上がりにくく、
AIの登場により、
働き方が大きく変わって
来ています。

これからの企業は、
専門性のある人に、
専門分野の仕事を
スポットで依頼する。

一方、働く側は
自分の専門分野を活かし、
毎日異なる会社に行って、
数時間働く。

まさに、今回の
酪農ヘルパーのような
働き方になっていくような
気がします。

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一般社団法人 酪農ヘルパー全国協会
URL http://d-helper.lin.gr.jp
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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