価格と比較と洗脳と

新興宗教が社会問題になると、
必ず出てくるのがマインドコントロールの話。
家族がマインドコントロールされている。
教団に操られている。
本人の意思ではもう何も決められない。
何とかして教団から救い出さなくてはならない。

教団の外側にいる人からすれば、
教団と手を切らせることは正義である。
だが教団の内側にいる人の主張は正反対である。
多くの現代人はマインドコントロールで
がんじがらめになっている。
それを解くために教団に入ることを勧めるのだ。

どちらがマインドコントロールをかけているのか。
一般的な日本人の常識から見れば、
それは教団だろうということになる。
だが事実がそうだとは限らない。
常識とはその場所、その時代における、
多数決に過ぎないからである。

たとえばキリスト教やイスラム教の信者が多い
国へ行けば、神が存在するということは常識である。
彼らは神が存在するということを前提に生きているし、
社会制度もそれを前提としてできている。
神など存在するわけがない、という人は、
まさにマインドコントロールされた人なのである。

マインドコントロールされた人と
マインドコントロールされていない人。
この境界線は正しくない。
相手から見ればどちらも
マインドコントロールされた人なのだ。

主義主張や信じる対象が、場所や時代や
状況によって変化するのは、とても自然なことだ。
問題はそれが人の間に大きな亀裂を生むことである。
亀裂はマインドコントロールによって
生まれるのではない。
それを認めないことで生まれるのである。

あなたはマインドコントロールされている。
この主張は正しい。
なぜなら人は例外なく何かに
マインドコントロールされているからである。
私はマインドコントロールなどされていない。
その主張が亀裂を生むのだ。

私もあなたもマインドコントロールされている。
何らかの主義主張を頑なに信じている。
だから意見がぶつかることは仕方がない。
どちらが正しいとも間違っているとも言えない。
これが亀裂を埋める唯一の思考法だ。

国家も、会社も、お金も、
マインドコントロールで成り立っている。
その状態を自覚することが重要だ。
初任給18万円は安いのか。23万円は高いのか。
卵1パック100円は安いのか。300円は高いのか。
あなたはなぜそう思うのか。
価格も、比較も、常識や情報という
マインドコントロールで成り立っている。
その事実を忘れてはならない。

 

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1件のコメントがあります

  1. マインドコントロールは、必要(悪)なのものだと思います。
    引きずられたり、囚われたりしたらまずいと感じました。
    何時も有益な気づきを頂くコラム、ありがとうございます。

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