第186回「日本劣等改造論(18)」

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

 ― 幻想の領域展開(後編)―

あけましておめでとうございます。そして幻想塾への入塾テスト合格おめでとうございます。年始から幸先いいですね。前編を読まれた後、年末年始、真面目にレッスンをされたのでしょう。幻想領域があなたの周りに展開しつつあります。えっ、家族や友人から怖がられた?レッスンの賜物でしょう。

そんな幻想人が増えてくると、あくびが伝染するように、幻想も伝染していく。幻想の脳波が、現実脳波を上書きして、幻想領域が日本を包み込む。そうなると幻想国家、つまりファンタジーの国ができあがる。東方見聞録に出てくる黄金の国ジパングに戻るのだ。

幻想には薬やアルコールは不要。夢の国に行かなくてもいい。特に必要な備品もない。お金は一切かからない。無料でいつでもどこでもできる。幻想家になると、現実家から氣持ちワルがられ、嫌われるぐらいなので、たいしたことはない。

「1年の幻想は元旦にあり」と昔の人はよく言った・・だろうか。幻想の国造りをするために、国のルーツを神話にした。神話は突拍子もない話ばかり。黄泉の国で約束を破ってしまいゾンビ化した奥さんに追いかけられ、命からがら逃げる、その息子は暴れん坊だったので国を追い出され、その旅の途中7つの頭を持つ竜にお酒を飲ませてベロベロにして退治する・・そんな無茶苦茶な神様の子孫が日本人であるという。幻想の世界ここに極まれり。

幻想国家が現実国家へと変わってしまったのは、幻想から目を覚まさせるような「氣つけ薬」を与えられたから。神話の世界は嘘であると。あなたたちは騙されていたよ、現実は違うからもっと現実を見て、と。唯物思想の人たちがプロパガンダと教育に大量に導入され、その氣付け薬の散布を手伝った。白い粉を子どもたちの頭に振りかけたように。

それでも貧しさに直面していたので「経済成長」という幻想の元、所得は倍増し、オリンピックも新幹線も世界第2位のGDPも現実化してしまう。しかし、現実化した途端、その幻想は静かに消えていく運命にある。

バブルが弾けたことで幻想を失いかけた矢先の1995年、都市直下型の大地震と真理をうたう幻想軍団の都市テロリストに日本中が震撼。経済成長のシンボルとなった都市へのインパクトは大きく、幻想は風前の灯火に。さらに2011年には経済の根幹をなすエネルギー源が水素爆発とともにメルトダウン。計画停電の中、幻想は完全に吹っ飛んでしまった。

幻想のない国は滅びゆく運命にあるのか。

子は両親の想像する恋愛や家族といった幻想から生まれる。子供がファンタジー好きなのは、幻想の申し子だからだ。幻想を持つ家は子供が多い。無邪氣な氣に満ち溢れ、しっちゃかめっちゃかになっている。現実家の家はモデルルームのようにきれいで、無邪氣さがない。そこに子供は寄り付かない。

日本全国も現実家の家のように、モデルルームのようになってしまった。路地裏やドブや登りやすい木はどんどんなくなり、公園ではボール遊びも花火もできず、カエルを爆発させ、火薬鉄砲や爆竹で遊ぶ無邪氣なガキンチョは激減した。

幻想がなくなったのならば、新しく作ればいいだけだが、現実家たちがその幻想をすかさず消しにかかる。無邪氣で青臭い幻想は、筋金入りの現実家たちにふっとばされてしまう。幻想家としての経験と現実家としての経験の差が歴然としてあり、太刀打ちができない。小学生のピッチャー大谷翔平が、プロ野球のベテランバッターと対決しているようなもの。簡単に打ち返されてしまう。

あっ、いけない。現実的な話をして、だんだん暗くなってきた。年始なんだからお酒でも飲んで、バカな幻想を語ろう。小学生の大谷翔平がプロをピシャリと抑える。なぜそれができるのか。ボールを小さくして、バッターとピッチャーの間を思いっきり狭くしたらいい。ストライクゾーンも思いっきり低くて小さくする。ルールを変えりゃいい。

幻想とは有利で都合のいいルールを自由自在に作ること。幻想を本氣でイメージしていたら自然と実現する。これが領域展開なのである。

 

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著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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