どうやったら売れるのか。
ではなく、どうやったら買いたくなるのか。
どうやったら集まるか。
ではなく、どうやったらそこに来たくなるのか。
これは似て非なるアプローチである。
ということを多くの人はもちろん分かっている。
分かっているができない。
そういうものなのである。
「相手視点で考えるんですよね。もちろん分かってます」
「どうやったら買いたくなるのか。
お客さんの立場になって考えてます」
「やっぱり安いこと。立地も大事ですよ」
「お得感と利便性。顧客はそれをいちばん求めています」
「つまり、うちの商品は高すぎるんです」
「それに、うちのお店は立地が悪すぎます」
「これではお客さんには選ばれません」
「顧客視点に立っていません」
となってしまうのがオチである。
安くする。便利にする。
そうすることによって喜ぶ顧客はいる。
それは事実である。
だがこれは顧客視点ではない。
そもそも顧客は「安いものを買う」「便利なところに行く」
と決めつけてしまっているからだ。
これは完全に売る側の思考回路である。
じっさい安くても買わない顧客はたくさんいる。
便利な立地にあっても客の来ない店もたくさんある。
そしてその反対もある。
決して安くないのに売れているもの。
不便な立地なのに行列ができる店。
なぜ人はそのような行動を取るのだろうか。
ここを考えることこそが真の顧客目線なのである。
買うなら安いほうがいい。
行くなら便利な立地がいい。
この思考回路には欠点がある。
それは「買う」「行く」ということを
前提にした思考回路だから。
そもそも人はなぜ買いたい・行きたいと思うのか。
ここが最も重要なのである。
売る側の思考回路をどんなにいじったところで、
買う側の思考回路にはならない。
それはまったくの別物なのである。
では思考回路を切り替えることは不可能なのか。
もちろんそれは可能である。
と言うよりも、すべての人はこの思考回路を使っている。
自分自身が買う立場であるときに。
なぜ私はこれを買いたくなったのか。
なぜ私はこの人を好きになったのか。
その原点に立ち戻る。
そこでは何があったのか。
私は何を見たのか。
何に触れたのか。
無から有が生まれるその瞬間を
すべての人は体験している。
にもかかわらず結果からロジックをスタートしてしまう。
勉強しておいたほうが有利だと考える大人のように。
だが思い出して欲しい。
普通の子供はそんなことを考えないということを。
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