人不足時代の組織づくり

ひとりで稼ぐのは簡単ではない。売れる商品と売る力の両方を持っていないといけないから。では片方しか持っていない人や両方とも持っていない人はどうすればいいのか。その答えが会社員である。そもそも会社員はひとりで稼げない人たちの集合体なのだ。

ひとりで稼げる人は独立するか起業する。なぜなら割が合わないから。自ら顧客を開拓し、自ら納品できる人が、なぜ大半の利益を会社に持っていかれなければならないのか。普通はそう考える。特にこれからの時代はそうだろう。

育ててもらった恩義や愛社精神ではもう成り立たない。経営者はここを理解しておくべきだ。裏切りだ恩知らずだと騒いだところで仕方がない。重要なのは独立できない人たちで組織が成り立っているという事実。ここに注目すべきである。

経営者は社員に自立しろと言うがそれは本末転倒だ。なぜなら真に自立した社員は会社にいる必要がなくなってしまうから。バランスのいい人材を育てるのではなく、偏った人材をさらに偏らせて、全体として調和の取れた組織をつくる。これが最も合理的で安定した組織づくりなのである。

全教科で合格点を取れる人を求めてはならない。そのような人材はあっさり辞めてしまう。国語しかできない。理科だけは得意。数学だけをやらせてほしい。これが正しい人選である。いや、これではまだ得意領域が広すぎる。

得意領域が広いと潰しが効くので条件のいい会社に転職できてしまう。英語の中でも英単語だけ。理科の中でも化学だけ。これくらい絞れば安心だ。たとえばメールだけに特化した営業マン。YouTubeやTwitterに特化した集客。パワポの提案書作成に特化した営業サポート。

得意なことを細分化してどんどんスキルを深めていく。もちろん自社の業績に結びつくニッチスキルでなくてはならない。ただしひとりでは完結しないスキル。他の社員と結びつくことでハーモニーが生まれ、得意スキルが収益化される仕組み。

全体として見れば同業他社より圧倒的に生産性の高い会社。報酬もアップできるし他社は真似することができない。社員は得意を活かせて待遇も良くここにしかない役割がある。もはや辞める理由がない。

人不足時代にバランスのいい人材を育てるのは間違いだ。社員の同質化は人不足を加速させるだけ。偏った人材を組み合わせて自社だけのハーモニーを作り出す。これが人不足時代の組織づくりなのである。

 

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